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2018.04.25

強靭な事業戦略を確立するフレームワーク、バリュー・チェーン分析

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皆さまは、「バリュー・チェーン」というフレームワークをご存知でしょうか?

バリュー・チェーン(Value Chain)とは、自社の事業を各工程別に分類し、それぞれの価値を整理するフレームワークです。

企業は商品を製造するための材料などの調達から製造、加工、出荷、広告などのマーケティング活動、販売、販売後のカスタマーサポートなど全ての工程を行う集合体ではなく、価値(Value/バリュー)の連鎖(Chain/チェーン)として捉える考え方であり、日本では直訳として「価値連鎖」として呼ばれることもあります。

そして、こうした一連のビジネスプロセスの中で、それぞれがどのような価値を生み出しているのかを分析できることから、各事業のプロセスを精査しておきたいときやプロセスの見直しから、戦略強化を図りたいときなどさまざまな場面で役立ち、また、自社・競合他社の事業活動を分類し、各工程での価値を比較分析することで、自社の課題を洗い出したり、競争優位性を高めるなどビジネスの戦略に役立つことから、事業計画の計画立て、見直しの際によく利用されるフレームワークでもあります。

ビジネスに役立つフレームワークについてはさまざまな経営学者たちが色々なものを唱え続けていますが、このバリュー・チェーンはそうしたフレームワークの中でも特にビジネスの事業戦略立てに有効であり多くの経営者など会社を牽引する人々が取り組んでいるフレームワークです。

今回の記事では、このバリュー・チェーンというフレームワークに注目し、その分析メリットや効果、方法、 ポイントなどを詳しくご紹介して行きます。

バリュー・チェーンとは

バリュー・チェーンとは冒頭でご紹介した通り、事業の各工程を機能別にレイヤーとして分類し、各レイヤーごとに強み・弱みを分類することで課題の洗い出しやその対応優先レベルなどを整理するフレームワークです。

バリュー・チェーンで分類したレイヤーをそれぞれ分析し、対策を検討していく活動はバリュー・チェーン分析と呼ばれ、さまざまなビジネスシーンで利用されています。

私自身もそのメリットを享受している一人であり、今日の事業戦略の設計・見直しを行う上でこのバリュー・チェーン分析を欠かすことはできません。

そもそも、このバリュー・チェーンとう手法は、アメリカのハーバード大学経営大学院(Harvard Business School, HBS)で教授を勤め、経営学者として知られるマイケル・E・ポーター氏が1985年に発行した著書「競争優位の戦略(Competitive Advantage)」の中で提唱されたのが始まりです。

冒頭の中で、バリュー・チェーンに関するご紹介では、事業活動を分類しと表現していますが、単に分類するには企業の活動は複雑なものであるため、ポーター氏の提唱する方法に従う必要があります。

具体的に、ポーター氏はその著書の中で組織の行うさまざまな企業活動を、「主活動(主要活動)」と「支援活動(副次的活動)の二つに分けて分類していく手法を提唱しています。 

主活動・支援活動の分類

さて、「主活動」、「支援活動」とはそれぞれ具体的に何を指すのでしょうか。

まず、主活動についてですが、これは読んでその字のごとく企業の運営を行う上で主となる活動を指し、ポーター氏は製造業における主活動の一例として『購買物流』、『製造』、『出荷物流』、『販売・マーケティング』、『サービス』の5つをあげています。

これはつまり、製品の製造業であれば、材料の仕入れ、製品の製造、販売、カスタマーサポート、マーケティング活動など、販売活動を行う上での一連の流れに直接的な影響をもつ活動を指します。

一方、支援活動については、主活動のように製品の生産や消費までの一連の流れに直接的な関わりを持たず、主活動の支援を主な目的として行われる活動の総称であり、ポーター氏は製造業における支援活動の一例として『全般管理(インフラストラクチャー)』、『人事・労務管理』、『技術開発』、『調達』の4つをあげています。

支援活動は確かに企業の売り上げアップに直接的な影響を与えるわけではありませんが、従業員を確保し、安定して働いてもらったりなど、今後の事業の継続と繁栄に欠かせない活動レイヤーです。 

主活動についてはビジネスを運営する上で欠かせない重要なものであり、支援活動は余力に応じてそれを強化される傾向にありますが、昨今のビジネス趣向では、売り上げアップに直接関係すること部分の最適化は当然行うものであり、むしろ支援活動でどれほど社会に貢献できる企業なのか、また従業員にとって素晴らしい環境を整えた優良企業であるかが企業の存続の鍵であるとさまざまな企業を支援しながら痛感します。

そこまで顕著な支援活動ではなくても例えば、パソコンを低スペック、低容量のものからハイスペックなものに切り替えるだけで生産性はアップしますね。

そうした支援活動の重要性についても抑えながら、定期的にバリュー・チェーン分析を実施できるようになると良いでしょう。

バリュー・チェーン分析を行う3つのメリット

上記までの中で、バリュー・チェーン分析を行うメリットをご紹介してきましたが、このメリットを意識した上で活用することがとても大切になります。

そこで、一度立ち止まり、バリュー・チェーン分析を行うことで得られる3つのメリットを整理しましょう。

自社の強み・弱みを整理し、戦略立てに活かすことができる

自社に対するバリュー・チェーン分析を行うことで、各プロセスの課題を整理するだけでなく、強み・弱みを見える化することができます。

弱みを補うための事業計画の設計はもちろん、強みを活かした体制の強化やマーケティング活動におけるアプローチの最適化を行うことで、より競合競争において適切に立ち回ることが可能になります。

また、自社の強み・弱みを理解した上で戦略を立てるということは、ヒト・モノ・カネといった経営資源を最適な形で活用できることも意味します。

そのため、バリュー・チェーン分析ではどこにどれだけの経営資源を消費しているのかもチェックすると良いでしょう。
闇雲に経営資源を浪費しては、ビジネスを前進させるどころか容易に自社の首を締め、困難な道へと導きかねません。
まさに、無理なく、無駄なく、より適切な事業戦略を設計することができるのです。

利益の最大化を図る

経営資源を最適な形で配分できるというバリュー・チェーンの特徴は、すなわち利益の最大化を図ることができることも意味します。
有限の資源を元に最大限のパフォーマンスが行えるよう人員配置、予算配分などの戦略を確立させることは、ビジネスを最大化する大きな要因となります。
一人あたりの売り上げ単価を引き上げ、予算のROI(投資対効果)の最大化を狙うために利用されるのがこのバリュー・チェーン分析であると言えます。
その点からこのバリュー・チェーン分析は多くの企業によって活用されておりさまざまなフレームワークの中でも特に注目される理由なのです。

先をみた戦略立てが可能となる

バリュー・チェーン分析のその効果は自社の現状への対策だけに留まりません。

競合の活動を分析することで、これから先自社の事業をどのように進めるべきなのか、またこれから直面するであろう市場のハードルなどを見える化することが可能になります。
もちろん、競合他社の情報を全て把握している企業は少なく、元競合企業の社員がいるなど幸運なケースでもない限り全てを正確に分析をすることは難しいでしょう。
しかし、Webサイトや会社概要資料などにおいて公開されている情報を元に分析することは可能ですので、少ない情報をつなぎ併せて分析を進めるようにおすすめしています。

ある程度情報を集められると、この分析では現状だけでなく、将来競合他社がどのような対策を打ってくるかが見えてくるケースがあります。
これにより、競合の活動よりも先に先手を打ち、自社の活動をより優位に進めることが可能になるのです。

バリュー・チェーン分析で事業を成功へと導くために抑えるべきポイント

バリュー・チェーン分析は事業戦略に大いに役立つフレームワークではありますが、それぞれのレイヤーが組み合わさることによって生まれる相乗効果による付加価値という視点を抑えることがとても大切になります。

それぞれのレイヤーが最終目標を実現するのための価値を生み出しており、その最終目標とは売り上げアップを実現することはもちろん、社会への価値創造などの存在意義の実現をも含みます。

企業のヒト、モノ、カネといったリソースは限られたものであるため、無駄なく使わなければなりません。

ニーズが少ない商品・サービスなどを提供することはそうしたリソースを無駄にし、追加コストを発生させるだけでなく、顧客満足度やデザイン性の低下などさまざまなデメリットを生み出してしまいます。

従って、貴重な経営資源を最大限に活用するためにはその活動が企業の目標を達成するために必要な価値へとつながるものか、またその度合いはどれほどのものかを判断することが、このバリュー・チェーン分析では重要なポイントとなります。

例えば魅力的な装飾を商品に加えることで他商品・サービスと差別化しより優れたものと魅せる施策を考えた場合、これが本当に顧客にとって価値を与えるものかを判断する必要があるということです。

企業側から見ると、自社製品をより魅力的に魅せることはいいことだと判断できますが、顧客がそうしたブランド力などよりも商品・サービスの質にこだわっており見た目には興味がないのであれば価値を与えるばかりか無駄な装飾にコストを充て、より良い商品や低コストでの提供に影を落としてしまうこととなるでしょう。

そうした活動の価値の目的をまず明確にし、そしてその活動が本当に価値を付加しているのかを判断し対策への活かしていく必要があるのです。

バリュー・チェーン分析を基に立てる、3つの事業戦略

ここまで、バリュー・チェーン分析は事業戦略を立てる際にとても役立つフレームワークであるとご紹介してきましたが、実際、この理論を基にポーター氏は「コスト・リーダーシップ戦略」、「差別化戦略」そして「集中戦略」の3つの事業戦略を提唱しています。

ここでは、それぞれの事業戦略とバリュー・チェーン分析との関係性についてご紹介していきたいと思います。 

コスト・リーダーシップ戦略

コスト・リーダーシップ戦略とは、、企業が経営を行っていくうえで、コストを下げたり価格が安いことを利点として顧客を集めることで競合他社よりも優位を目指そうという事業戦略です。

実際に市場価格の決定権を握るプライスリーダーとなるためには、産業用ロボットの追加や販売量の増加といった事業規模の拡大だけではなく、原材料や素材パーツの仕入れ元変更や大量仕入れによる仕入れコストの削減、作業プロセスや物流システムの見直し、人員配置の最適化など、事業に関係する全ての活動に対するマネジメントが必要となります。

バリュー・チェーン分析を使用し客観的に自社の事業活動を把握することで、無駄をカットするだけでなく、生産の効率化を図ることで品質を落として安い製品・サービスを提供するのではなく、品質を維持、または向上させながらより安い価格での提供を実現する戦略です。

わかりやすい顕著な例としては「ユニクロ」「マクドナルド」「ニトリ」などのブランドが挙げられます。

それぞれ、価格を安く抑えながらも、品質の良い商品を提供しており、品質の良いものが安く買えるという点が多くの人に支持されています。

そしてそれぞれ、高品質・低価格というコストリーダーシップ戦略を実現しているのは、SPA(speciality store retailer of private label apparel)という、企画から製造、販売までを一手に行うことで中間マージンなどの余分なコストをカットし、製品に転嫁し、そして品質の良いものを低価格で販売できるという戦略をによって確立しています。

差別化戦略

差別化戦略は、他社にはない特徴や差異を生み出すことで、他社に勝とうとする戦略です。

自社の強み・弱み、また競合他社の強み・弱みを見える化し、それを把握した上でどのように顧客へとアプローチし、競合競争を勝ち抜いていくかを考えるためには、バリュー・チェーン分析は欠かせないものでしょう。

例えば、牛丼販売業界においてトップに君臨する吉野家は、品質重視・サービス重視の低価格にとらわれない差別化戦略をとっています。

牛丼業界と言えば「吉野家」「すき家」「松屋」の3大トップがあげられ他の追随を許さない圧倒的なマーケットシェアを確立しています。

特に吉野家は最もシェアの高い牛丼チェーンでありましたが、2008年9月にすき家に店舗数で追い抜かれ、業界2位としてすき家を追いかけるチャレンジャーの立場となりました。

その後苦しい競合争いを強いられ、2013年4月に牛丼を380円から100円も値下げし、他2社と同等の280円に設定することでこれまで奪われてきた顧客の獲得に成功しましたが、客単価が低下したことによって売り上げは大きく伸ばしたものの純利益は低下し苦しい立場が続きました。

そんな中誕生したのが、食べたことのある方も多いでしょう「牛すき鍋膳」です。

吉野家はこれまで強みとしてきた「うまい、やすい、はやい」というポリシーを打ち破り、テーブルでゆったりと鍋を一人で堪能できるメニューに挑戦することで、安さで戦ってきた牛丼メーカーに品質で勝負する差別化戦略を打ち立てたのです。

この「牛すき鍋膳」によって多くの顧客からの支持を受けることに成功し、さらに顧客に安く食事がとれるという牛丼メーカーというイメージを残しながら、中でも美味しいという印象を顧客に残すことに成功しました。

集中戦略

集中戦略は、戦うフィールドを特定の地域や特定の消費者など、特定のセグメントに集中した上で、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略を進めていく戦略です。
例えば、自動車産業のスズキは、業界の特定市場に的を絞って経営資源を集中することで、競争に勝とうとするまさに集中戦略の代表とされています。
スズキは、「軽自動車」という分野に的を絞り、経営資源を集中しており、2018年まで46年間連続国内シェアNo1の実績を確立しています。
また、スズキは日産自動車にOEM供給をしており、マツダや日産自動車の軽自動車・小型車分野の一部の供給も手掛けています。

OEMとは、中身はほとんど同じでありながら、メーカーのエンブレムだけを変えたものを指します。
つまり、他自動車産業に対するOEM供給も考慮すると、スズキの軽自動車におけるシェア力はまさに圧倒的であると言えるでしょう。

また、一方で自動車業界全体の中では、トヨタやホンダなどに対しスズキは弱者にあたります。
スズキ会長兼社長の鈴木 修氏はそのことを強く認識しており、自ら『俺は、中小企業のおやじ』と称しています。
弱者戦略の基本は集中戦略や差別化戦略であるとされ、スズキは自らを弱者と認識することによって、軽自動車という特定市場でその地位を築きました。

集中戦略は多くの中小企業にも当てはまる戦略であり、弱者が強者になる戦略の一つでもあります。
このスズキの集中戦略は中小企業の経営者たちにとってまさに見習うべき手法といえます。

バリュー・チェーン分析を行う5つのステップ

バリュー・チェーン分析について、これまでのご紹介でしっかりとご理解いただけたかと思いますが、実際に取り組んでくださいと言われたらみなさまどのように進めれば良いのか悩まれることと思います。

実際に、私はバリュー・チェーン分析を行うためにこれからご紹介する5つのステップを支援する企業さまにご案内し一緒に進めております。
バリュー・チェーン分析は手間のかかるフレームワークでもあるため、正しいステップを理解した上で実際に着手していくことが有効でしょう。
ではこれから具体的に、バリュー・チェーン分析を行う方法についてご紹介していきたいと思います。

ステップ1 バリュー・チェーンを図式化しましょう

まず最初に行うのは実際の事業活動を整理したものを図として見える化することです。

 

まずは全ての事業活動を機能別に分類し、それぞれをレイアーとしてリストアップします。

スタートから図式化しようとするのではなく、まずは箇条書きにリストアップし、工程に沿って並び替えをしていくこと、作成途中で修正したい場合などを考えると効率的です。

全ての活動のリストアップが完了したら、主活動(生産・流通・消費と直接的な関係のあるもの)と支援活動(それとは関係のない活動)とに分類をしていきます。

具体的には箇条書きしたものを色分けするとパッとみてわかりやすいです。

分類が完了したら、主活動のレイヤーだけを実際のプロセス順に上記の図のように左から右へと並べます。
それが完了したら次に関連する支援活動を主活動のレイヤーの上に配置していきます。
複数の主活動レイヤーにまたがる支援活動のレイヤーは、一個づつ主活動レイヤーごとに分けて記載するのではなく、またがる形でまとめて記載するとスッキリと見やすい図が作成できます。

ステップ2 各レイヤーの運営にかかるコストを整理しましょう

ステップ1のバリュー・チェーンの図式化が完成したら、次に各レイヤーの運営にかかっているコストを正確に漏れなく洗い出しましょう。

コストとは、材料調達にかかるコストや人件費、広告宣伝費、外注費、事務所の賃料などその全てを洗い出します。
企業を運営する経営者であればこうしたコストは財務諸表として記録しているでしょうからそれほど大変な工程ではありませんね。
整理する際は表計算シートなどを活用し、レイヤー・担当部署と共に整理し1つの表にまとめると全体像がよりはっきりと見える化できます。

事業・レイヤーが複数の部署関連する場合には、その売上比率や活動比率などの一定ルールに基づきコストを振り分けると良いでしょう。

ステップ3 レイヤーごとの強みと弱みを分析してみましょう

次に、それぞれのレイヤーごとに、強み・弱みを分類していきます。

ここであらかじめ競合の強み・弱みについて書き出して置くと、最終的なバリュー・チェーン分析に基づく戦略をより戦略性の高いものに仕上げることが可能になります。

また、この強み・弱みの分析では実施者によって評価が変わるため、一人で進めてしまうと客観性に欠けるものとなってしまいます。
そのため、可能な限り多くの担当者・関係者からの意見を求め、情報の正確性を十分に精査した上で分析するようにします。

主活動の評価基準の例:

<購買/物流>
・適切な量の原材料を適切なタイミングで確保できているか
・移送や貯蔵の工程に無駄はないか
など

<製造>
・受注から納品までにかかる時間
・不良品率
・国内/海外生産拠点の数とそれぞれの生産規模
・独自のスキルやナレッジ
・生産技術力や量産技術力
など

<出荷物流>
・製品の品質を低下させることなく届けることができているか
・製品完成から発送までにかかる時間の長さ
・物流インフラ
など

<販売・マーケティング>
・担当者が自社製品を正しく理解し、価値を認めているか
・広告宣伝活動が認知の度向上や集客につながっているか
・良質な販売経路をどれだけ持っているか
・成約率
・リピート率
・コピーライティング力
・提案力
・営業マニュアル
・販売促進ツール
など

<サービス>
・コールセンターへの電話の繋がりやすさ
・オペレーターの応対品質レベル及び顧客満足度
・チャットやお問い合わせフォームなど電話以外の問い合わせ窓口
・サービスエリア/担当者の充実度
・応対マニュアル/クレーム対応マニュアル
・チケットクロージングタイム(問い合わせからサポート完了までにかかる時間の長さ)
など

ステップ4 VRIO分析を行いましょう

VRIO分析とはジェイ・B・バーニー氏が提唱したVRIO理論をフレームワーク化したものです。

企業内部に存在する経営資源が保有する強みの質や競争優位性を明確にすることで、競争優位性の維持や強化、市場シェアの拡大、顧客満足度の上昇など様々な効果を得ることができます。

評価対象となる経営資源の持つ強みを「価値(Value)」、「希少性(Rarity)」、「模倣可能性(Imitability)」、「組織(Organization)」の4項目で評価し、早急に解決しなければならない課題の洗い出しや注力するべき優先順位を設定します。

バリュー・チェーン分析内におけるVRIO分析では、組織内部に存在する経営資源の強みの質の見極めと維持向上だけでなく、戦略や施策を講じる優先順位の設定も可能です。

この2種類の評価は以下評価基準を用いて行われます。
・価値(Value):組織に多くの利益をもたらしてくれるか
・希少性(Rarity):希少価値の高いものであるか
・模倣可能性(Imitability):競合他社が容易に真似することのできないような工夫や技術が施されているか
・組織(Organization):その重要性を全従業員が認め、最大限に活かせる組織体制が構築されているか

 

このVRIO分析に基づいて導きだす競合対策は、競合を出し抜くようなあっと驚くアイディアが出てくるわけではなく、無理なく、今の会社の戦略・戦力をどのように調整すれば良いのかという道筋を導き出すものであることをご注意ください。

もちろん、競合争いにおいては前者のあっと驚くような競合他社から一線を画す施策があるに越したことはありません。

しかし、こうした土台を固め一歩づつ進められる力もまた、事業戦略の一つとしてとても重要なことです。

様々なベンチャー・中小企業がある中でどれほどアイディア力に富んだ企業もこうした土台固めがしっかりとできる基礎の強さをもつ企業こと長期的に存続していく強い企業であると私は思います。 

さて、このVRIO分析の分析項目に基づいて活動の優先順位を選定する際の注意点ですが、この分析では単にそれぞれの項目に対して「対策できている」「対策できていない」の2択によって評価をしたのでは、優先順位を導きだすことは難しく、対策すべきこと・このままで良いことの棲み分けにしかなりません。

そのため、それそれの項目に対して、4段階など3以上の段階に分けて評価するようにしましょう。

そうすることで、優先順位が数値によってパッと見える化することが可能となり、次のアクションへと進みやすくなります。

また、ここではそれぞれの評価スコアについての定義をあらかじめ設定し、評価者の感覚に応じてスコアが変動しないように注意する必要もあります。

ステップ5 実際に事業戦略を見直してみましょう

このステップ1から3までの手順によって、バリュー・チェーンの図式が完成し、それぞれに対する評価分析も完了います。

そして、これらの情報を元に対策を行わなければならないポイントはどこか、ヒト、モノ、カネの経営資源配分の見直し、優先順位の設定など、実際の事業戦略を見直してみることが一番重要なポイントとなります。

 

最後に

ここまで長くに渡ってバリュー・チェーン分析についてご紹介してきましたが、最後まで読み終えたあなたは事業戦略立て、ビジネスの運営に置いて非常に重要なフレームワークであるとご理解いただけたことと思います。

ビジネス活動で立ち止まる時は、次を見据えた検討の時のみであり、ゆったりと休憩する余裕はありません。

また、同じことをずっと繰り返していくだけでは、企業は衰退の域をたどります。

常にトライアンドエラーを繰り返しながら、猛スピードで変化する市場の流れに、正しくスピーディーに対応し続けるために、こうしたバリュー・チェーンなどのフレームワークを活用したビジネス戦略の見直しをし続ける必要性があるのです。

組織としてビジネスを進めて行くにあたって、常に正解を選択することはできません。どんなに優れた経営者も失敗を重ねながら成長を続けてきました。

多くの成功を遂げる経営者に共通するのは、自社の状況を冷静に分析し、社会のニーズ、そして将来を見据える力をもって自社が進むべく道筋を切り開く能力をもっています。

そうした経営者は最初からそうした能力をもっているのではなく、さまざまな検証を繰り返しながら経験値をため、前に進み続けた結果として得た能力です。

企業が成長し続けるためには、単に営業担当者を鍛えたり、広告予算をギャンブルのように投資し一角千金を狙うのではなく、経営者・役員の会社を引っ張る人々がこうした意識をもって会社を引っ張り続けていくことが大切であると言えるでしょう。

<参考リンク>
PDCAサイクルはもう古い?これからは「DCAPサイクル」~前編~

今さら聞けない「ビジネスフレームワークとは?」を分かりやすく解説

顧客状況を分析するフレームワーク、RFM分析、CPM分析について

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