【第1回】将来の起業を目指すための資格取得

将来独立可能な資格をサラリーマン時代にとっておき起業準備をすることはプラスです。資格も重要な経営資源となり資格事務所開業では資本金のような基礎的な事務所設立要件となります。しかし、資格にもいろいろあります。資格だけで食べられるのが確実なのは現在の日本では医師免許だけだと言ってもよいのではないでしょうか。弁護士でさえ営業・PRしないと仕事は取れません。どのような資格を取るかは個人のキャリアの背景があり一概には言えませんが参考となるものを上げてみたいと思います。

 

1.独立できる資格にはどのようなものがあるか?

仕事に使える資格にも、単に知識・教養を示すもの、スキルを証明するもの、転職には有利になるもの、独立可能なものがあります。独立可能なものではやはり国家資格が中心になります。国家資格は医療や技術系のものを除き、多くは誰でも受験資格があるもので、試験も難関なものが多く倍率も高いのが一般的です。それゆえに資格取得の意味もあるものです。会社に勤めている時は仕事が忙しいと言っても学習時間を取ることは可能です。この時に資格を取っておくことは資格起業では必須です。では独立可能な資格にはどのようなものがあるでしょうか。またどの資格も先述した通り資格取得以外に業務の受注には営業が必要です。

 

(1) 情報系国家資格

コンピューター業界は基本的にはスキル中心でキャリア重視です。しかし、逆に言えばキャリア十分でない創業時には資格で専門能力を証明しキャリア不足をカバーしていくことが有効です。

 

①基本情報技術者

コンピューターメーカー、ソフトウェア開発会社、ソフトウェア受託開発会社、Web系会社などでの技術関連業務やシステム設計・開発・運用を行うSE、PGの仕事です。システムの設計・開発や汎用製品の最適組合せ(インテグレーション)によって信頼性・生産性の高いシステムを構築します。難易度は標準からやや難でしょう。試験結果―受験者数51,377人 合格者数14,829人 合格率28.9%(2018年春実施)。

 

②ネットワークスペシャリスト

ネットワークシステム会社、システム開発会社、ネットワークベンダー、LAN施工会社、一般企業情報システム部門のSEなどです。企業、大学、行政の多くのコンピュ-タや周辺機器をネットワークでつなぐ基幹となる業務で、サーバシステム構築、ネットワーク管理、セキュリティ管理を行います。難易度は難に属します。試験結果―受験者数12,780人 合格者数1,736人 合格率13.6% (2017年秋実施)

 

(2)中小企業診断士

中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家で、国家資格となっており、営業分野での活用ではコンサルタント営業の武器になります。行政関係、商店街関係などの仕事を受注するには資格は有利になります。受験資格は特になく、試験は1次2次とあり、1次試験は筆記試験です。2次試験では口述試験もあります。1次試験は科目別受験方式になっており科目は、経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理(オペレーション・マネジメント)、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策です。1次試験―受験者数(欠席科目がない者) 14,343人 試験合格者数3,106人 合格率21.7%(2017年度)。民間通信教育・通学講座も多数開催されています。通常働きながら学習するため複数年学習が必要な難関試験です。費用も通学講座では高額です。

 

(3)社会保険労務士

健康保険・労災保険・雇用保険の加入給付手続、年金給付手続、賃金管理・就業規則・従業員教育等についての相談指導、雇用関係の各種助成金申請等を行います。人事関係のキャリアが活きます。試験では受験者は社会人が多く、難しい部類に属し複数年学習が必要です。受験者数38,665人 合格者数2,613人 合格率6.8%(2017年度)

 

(4)行政書士

官公署提出書類の作成、官公署手続代理、契約書類作成代理などを行います。自動車登録、車庫証明申請書、各種法人設立申請、各種営業許認可申請書(建設業許可、廃棄物処理業、風俗営業等)、入管申請書、帰化申請書など分野の幅が広い仕事です。外国人採用では入管等の国際分野や、障害者雇用の福祉関係などが注目されます。総務関係のキャリアが活きます。難易度ではやや難でしょう。試験結果―受験者数40,449人 合格者数6,360人 合格率15.76%(2017年度)

 

(第2回に続く)

 

<参考リンク>

起業の不安にはどのようなものがある?不安の解消法について

マズローの5段階欲求説とビジネスチャンス

【第2回】将来の起業を目指すための資格取得

TP Interview 007:TRICHROMATIC COFFEE 石原剛氏(前編)