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2018.02.22

ITでシニアの仕事を探す!「高齢者クラウド」が秘める高い可能性とは

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最近よく聞く、「AI」をご存知でしょうか。

AIとは、artificial intelligence(アーティフィカル・インテリジェンス)の略で、日本語にすると「人口知能」のことです。

人工知能とは、人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステムのことであり、具体的には、人間の使う自然言語を理解したり、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするコンピュータプログラムなどのことをを指します。

人工知能の応用例としては、専門家の問題解決技法を模倣するエキスパートシステムや、翻訳を自動的に行う機械翻訳システム、画像や音声の意味を理解する画像理解システム、音声理解システムなどがあり、人工知能を記述するのに適したプログラミング言語としてLispやPrologなどが知られています。

(出展:IT用語辞典

2000年代に入り、急激な進歩と遂げているAI技術はさまざまなメディアでも注目されており、一般家庭に留まらずビジネスにおいてもその可能性が注目されています。

この影響はシニア世代にも当然および始めており、これからの高齢者の働き方にも影響を与えることは間違いないでしょう。

こうしたIT技術の進歩がもたらす影響は、いい方向に進むのではないかと思われるが、反面、ただでさえ仕事を見つけることが困難とされるシニア世代にとって職を奪われることに繋がるのではと不安に思う人も少なくないでしょう。

今回は、そんな不安を解消するべく、 こうしたIT技術によって高齢者の就労支援を行う「高齢者クラウド」についてご紹介していきたいと思います。 

「高齢者クラウド」とは

「高齢者クラウド」とは、東京大学大学院情報理工学系研究科の廣瀬通孝教授が主導する研究・活動です。

ここでは、高齢者の知識を負荷や時間をかけずに取得し、その知識を構造化することでビジネス用途として利用できる仕組みを整え、その知識を外部へ排出することで社会へと循環させる3つの取り組みが行われ、高齢者の新規ビジネスの創出および社会参加の促進が行われます。

 

(出展:東京大学 高齢者の経験・知識・技能を社会の推進力とするためのICT基盤「高齢者クラウド」の研究開発 

具体的には、「人材スカウター」と「GBER(ジーバー)」の2種類の人材検索エンジンによってこのプロジェクトは行われています。

「人材スカウター」とはビジネスにとって有益かつ高度なスキルをもつ高齢者向けのマッチングサービスです。

企業が求める高度な人材スキルをデータ化し、高齢者のスキルデータと称号し最適な人材を導き出すのがこのサービスの特徴であり、さらに1人ではその企業が求めるスキルに当てはまらない場合には、複数名を組み合わせることで企業ニーズを満たすこともあります。

もう一つの「GBER(ジーバー)」とは、例えばパワーポイントの資料作りを手伝ったり、地元で子供の世話をする、料理を教えるといったロースキルの高齢者を社会ニーズとマッチングさせ仕事を提供するサービスです。

GBERは、Uberというアメリカの企業であるウーバー・テクノロジーズが運営する、自動車配車サイト・アプリから連想し命名されたサービスです。

Uberは、車(タクシー)を呼ぶことのできるサービスですが、GBERは、呼ぶとおじいちゃんおばあちゃんが飛んで来るという少し緩いイメージの就労サービスです。

 

高齢者クラウドが誕生した理由とは

日本では、世界の先陣を切って少子高齢化が進んでおり、若者の世代が肥大化した高齢者層を支える社会モデルの存続がますます困難になっていくことは疑いようのない未来図です。

2055年には日本の人口ピラミッドは、完全に逆ビラミッド型になると推計されていますが、この問題は深刻であり、1.3人の働き手によって1人の高齢者を支えなければならなくなる計算であり、生活支援や医療費が高額となる高齢者をこの割合で支えることは不可能に近いでしょう。

この問題の根源は、高齢者層をまず、「支えられる人」と一方的に判断し、国力のエンジンとしての役割を考えていないところにあるのではないかという考えから、「高齢者が社会を支えるモデルを構築しよう!」という逆転の発想で誕生したのが、ITを活用してシニアの就労を支援するプロジェクト「高齢者クラウド」の研究開発です。

もちろん、医療の発達や食の品質向上といった理由から、元気で就労意欲のある高齢者は増加していますが、実際の就業率との格差は大きく、働きたくても働けないケースが多々あります。

実際に、60歳以上の89.8%は日常生活において全く不自由なく過ごすことにできる元気高齢者であり、社会で活躍する可能性を持つ存在であるといえます。

しかし、元気高齢者が働けない日本の実態があり、廣瀬通孝教授をはじめとした東京大学大学院情報理工学系研究科の研究メンバーは、これは人材マッチングに問題があるのではと考え、この研究をスタートさせました。

シニア世代がこれまで培ってきた経験や知識において優れた高齢者の労働資源を積極的に社会に還元することができれば、我が国は依然として豊富な労働力を有していると見ることができます。

極端なことを言えば、いわば逆三角形の人口ピラミッドを再びひっくり返した見方の実現を目指します。 

なぜ、ITで高齢者の就労を支援する選択を選んだのか。

IT技術を用いた高齢者の支援というと、ロボット介護士や薬飲み忘れ通知といった「高齢者は弱者だ」という前提に基づいたサービスしか存在していません。

しかし、周りのシニア世代を見渡してみたとき、また定年退職を迎えるシニア世代がご自身を考えたときに「弱者」という表現が当てはまるでしょうか。

90代といった超高齢者であれば、それは確かに電車では優先席を利用されるなど配慮が必要な弱者として表現できるでしょうが、シニア世代の多くはそれに該当しません。

シニア世代=弱者と決め付け、その世代を活用しないのはいびつな考えであり日本の経済においても自らの首を締めるような行為であり、システム変更が必要であることは明白であることから、ITの活用も頷けます。

そもそも、高齢者の就労を難しくしている要因は、スキル・時間的制約・空間的問題であると廣瀬教授は指摘しています。

スキルの問題とは、若者と違い、シニア世代には既にスキルがついており可塑(かそ)性(力を加えられて変形し、そのままの形になる性質)がないため、マッチングがより重要になるのです。

2つ目の「時間的」制約とは、人によってはフルタイムで毎日働くのは難しいという制約です。

そして3つ目の「空間的」問題とは、体力的に長距離通勤などがつらくなるという問題です。

それらを解決するためには、スキルに関しては、因数分解すればいいと廣瀬教授は指摘しており、例えば、「英語能力がありスカンジナビアへのコピー機の輸出の知識が豊富である」というスキルにピッタリと当てはまるスキルを持つ人、仕事を探すのは人材を求める側にとっても雇用を求める側にとっても難しいことですが、「外国」「機械」「調達」という形でその人の持つスキルを因数分解し、他の人々の能力と再組み立てすれば、バーチャルな1人分の労働力になるり、これを「Mosaic(モザイク)就労」と称しています。

これにより、シニア世代の豊富な経験を活かしつつ、企業のまさに求めるニッチなニーズにも答えられるWin-Winな構図が完成します。

Mosaic(モザイク)就労の可能性

高齢者は、現役時代と比べて時間的拘束の少ない就労形態を望み、フルタイムでの就労は望んではいないことも多いです。

また、健康上の理由などで定期的に職場に赴くことができない状況も多いでしょう。

この問題は、雇用する側から見ると、不安定な労働力として判断されることとなり、採用は当然に嫌煙されるという課題があります。

そこで、高齢者の就労における、就労側と雇用者側の意識のギャップを埋めるために、高齢者クラウド研究グループではMosaic(モザイク)型就労モデルという新しい就労システムを提案しています。

これは、個々の時間や能力を組み合わせてバーチャルに一人分の働きをこなす仮想労働者を構成することで柔軟な就労と安定した労働力の供給の両立を可能とする仕組みです。

下図