現在定年は60歳、65歳からの年金支給と合わせて65歳までの再雇用が一般的な形ですが、人手不足と年金財政の破綻危険の背景から70歳からの年金支給方向が政府で検討され、それに合わせて70歳まで働ける社会環境作りが行われています。年金財政の破綻を防ぐには年金支給年齢の引き上げと年金支給額の減少になります。これは若年層にとっても大きな問題です。年金に頼れない時代がやってきます。
しかし、シニアの非正規雇用でも求人年齢上限は現在65歳が通常です。70歳まで可能な職種は軽作業などでも一部に限られており、雇われるなら年齢制限があります。これはいつの時代でもそうでしょう。生涯現役で年齢に関わらず仕事をしていける道は、やはり雇われない形態になります。そこで起業を負担少なく気軽に始められるのが個人起業です。人を雇わなくても、自宅でも、リスク少なく始められる分野と働き方を考えてみましょう。
1.シニアの仕事として想定される請負業個人起業の分野
勤めていた時のキャリアを活かした分野の職種から考えてみましょう。
①事務系―経理
経理全般代行、記帳代行があります。経理ソフトを使った形であれば顧問先企業とのオンラインでの作業も可能です。顧客は専門の経理人材を置けない小企業や個人企業となります。また、生命保険の個人事業主である営業ウーマンを中心対象にしている経理代行会社もあります。
②事務系―総務・人事
社会保険事務、賃金計算事務、法律文書作成、役所への申請届出書類作成代行、許認可申請代行などがあります。社会保険労務士、行政書士を使っている企業も多いですが、実務経験がある人がより安くやるなら信用力もあり、企業にとって費用軽減メリットがあります。
③パソコン、ネットワーク
Webサイト制作・メンテナンス、システム開発、エクセル営業データ入力、ブログ・メルマガ制作代行、SNS管理発信代行、悪質書き込み発見対応など、多様でニーズが広い分野です。
④メンテナンス系―現場巡回管理
施設管理、設備機器管理(ビルメン業界、金融業界ATM管理など)、事故現場記録(損害保険業界)などがあります。ビルメン業界で、比較的価格が安く専門会社が軽視していた消防設備点検の事業を切り口に70歳で起業した人もいます。
⑤営業補佐・販売促進系―フィールドワーク系
流通業界販売先営業支援(店頭販売、デモ販売、在庫チェック、他店価格調査、売れ筋商品チェック)、不動産業界営業支援(現地販売受付、現場見学立会い)などがあります。
⑥専門職系
講師、コンサルタント、翻訳、技術指導、執筆などがあります。
⑦営業系
営業代行(ルートセールス)、営業代理(出来高制含む)コールセンター(電話受付・営業)などがあります。
⑧自動車運転、その他軽作業系
デリバリー業務、運転代行などの仕事があります。
2.仕事場所と働き方
多くの仕事で自宅作業が可能です。また相手先の場所へ出向いたり、作業場所へ出向くなどで事務所を設ける必要のない形態です。
作業時間は仕事先へ出向く仕事では決まっているものもありますが、請負業は納品をもって仕事を完了させる形態ですので、時間管理され雇用されるものとは基本的に異なります。
シニアからの起業では、現役時代にやってきたキャリアが活かせれば比較的早期に起ち上がれます。自分のやってきたことですから、それなりの自信があるからです。勝手が違い戸惑うのは営業でしょう。技術だけあって営業に自信のない人は営業経験者と組んで仕事をしたらどうでしょうか。また将来を考え未経験の営業業務に挑戦するのも意義のあることです。会社形態にすることも資本金を少なくしてやればできます。個人形態で始めて、起業がいけると判断したら法人化しても良いでしょう。人を雇わず自分ひとりで始められる仕事はリスクがありません。自分のできることを絞り込むことから始めてください。
<参考リンク>
・TP Interview 005:株式会社家’s 代表取締役社長 伊藤昌徳(前編)~脱サラ後、手探りで地方起業に走り出し、地方創生のビジネスモデルを確立した経緯に迫る~
姉妹メディア『The SIDELINE』より
・Sideline Interview001:Eigtmedia Shino氏(前編)~パラレルワーカーShinoさんの「リストラ、ラッキー」な転機&徹底、時間節約術~