創業時の起業家に民間金融機関は融資してくれません。公的創業融資しかありません。店舗などの資金がかかる事業ではどうしても融資が必要になってきます。公的創業融資では日本政策金融公庫では無担保無保証人の制度があります。また公的融資全体は低金利です。事業計画がしっかりしていれば早期に事業を起ち上ることが可能になります。利用する予定のない方も研究には十分値することです。自治体融資は信用保証協会が保証する制度融資という分野になり、これは創業後の運転資金融資でも利用できます。経営者にとって知っておくべき分野でしょう。
日本政策金融公庫 新創業融資制度
新たに事業を始める人や事業を開始して間もない人が、無担保・無保証人で利用できるのが最大のポイントです。他の融資にはない魅力です。ただし、事業計画や起業家のキャリア、人物など全体の信用力は問われます。自治体融資よりは一般的に早く審査・決定されるのも利点です。
(1) 利用できる方 次の①~③のすべての要件に該当する方
①創業の要件
新たに事業を始める人、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
②雇用創出等の要件
次のいずれかの要件に該当することが必要です。
[1]雇用の創出を伴う事業を始める方 [2]技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方 [3]現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方・現在の企業に継続して6年以上お勤めの方
・現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方
[4]大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方 [5]産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方 [6]地域創業促進支援事業又は潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクールによる支援を受けて事業を始める方 [7]公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方 [8]民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方 [9]前[1]~[8]までの要件に該当せず事業を始める方であって、新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると公庫が認めた方で、1,000万円を限度として本資金を利用する方 [10]既に事業を始めている場合は、事業開始時に前[1]~[9]のいずれかに該当した方
③自己資金要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、要件を満たすものとなっています。
(2)資金の使いみち
事業開始時または事業開始後に必要となる事業資金
(3)融資限度額
3,000万円(うち運転資金1,500万円)
(4)返済期間
融資制度で定める返済期間以内
(5)利率(年)
利率2.26~2.35%
(6)担保・保証人
原則、無担保無保証人の融資制度であり、代表者個人には責任が及ばないものとなっています。
(7)返済
原則として月賦払い。返済方法は、元金均等返済、元利均等返済、ステップ(段階)返済などがあります。
創業時から融資を受けること自体にリスクは発生しますが、冒頭でも書いた通りどうしても投資額が大きくならざるをえない事業分野があります。しかし、店舗投資などではある程度の類似事例から立地性は事業の成功に極めて重要な要件であり、逆に言えば立地が良ければある程度の売り上げ予測は可能で投資回収の裏付けになります。金融機関が判断能力を持っている分野です。融資金額を抑える必要はありますが、融資も事業成功のためには必要な要件の1つとして検討・研究は必要でしょう。
<参考リンク>
・【第2回】創業時から借りられる!政策金融公庫、自治体創業融資とは?
・TP Interview 007:TRICHROMATIC COFFEE 石原剛氏(前編)