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2018.02.22

高齢者の生きがいとは?早すぎるリタイアはリスクであふれている!

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定年を前に、「ビジネスからリタイアするとどうなるのか」を考えない人はいないでしょう。

のんびりと幸せに暮らせるのか。はたまたリタイアによって暇を持て余し、ボケてしまうのか。

ひと昔前の高齢者は、定年を迎えたらリタイアし、のんびりと隠居生活をすることが一般的と言われてきましたが、医療の発達と不景気の相乗効果の影響を受け、日本では少子高齢化に直面し、高齢者を支える財源はまさに逼迫した状況に陥っていることは、皆さまご存知でしょう。

しかし、定年後のリタイアにおけるリスクは金銭の面だけに限りません。

平均寿命が年々増加し、健康年連も比例し増加しており、昔の60歳から65歳といった定年年齢のお年寄りレベルは低下しており、まだまだ健康的にも、見た目的にも働ける人がほとんどです。

そのような元気ある人がリタイアを迎えてしまうと、健康・精神的にもリスクを負うと昨今ではいわれています。

今回の記事では、早すぎるリタイアがどのようなリスクを与えるのか、事例や統計データを元にわかりやすくご紹介したいと思います。

 

退屈とは、死ぬほどに辛いものである。 

イギリス サウスデポン 89歳 ジョー・バートリー

出展:Mail Online – Save me from dying of boredom!’: Former soldier, 89, places an advert asking for a job because he can’t face having nothing to do at home or living off benefits

 

イギリスのサウスデボンの地元紙に、89歳だったジョー・バートリー氏は、このような求職の広告を掲載しました。

出展:Mail Online 

訳)

求職

89歳の高齢者がペイントン地区で仕事(雇用)を探しています。

週20時間以上希望。

今でも清掃や軽いガーデニング作業、DIYなど、何でもできます。

推薦状もあります。

昔は空挺部隊の兵士でした。

退屈で死にそうなのから救ってください!

 

アームチェアに腰掛けながら退屈に過ごす日々から抜け出し、忙しい日々を過ごしたいというジョー・バートリー氏の熱い想いが込められたこの広告に、世界各国のメディアが注目しました。

バートリー氏は後に、メディアからのインタビューに答える中で、仕事が与えてくれるさまざまな恩恵に飢えていると語りました。

バートリー氏は退役軍人であり、数年前に妻を亡くしています。

経済的な報酬ももちろん目的ではあるが、社会的な人とのつながりや、たとえお決まりのルーティーン業務であろうともそこから得られる達成感をもう一度取り戻したいと切実に訴えています。

 

世界のバートリー化現象 - 世論調査からみる今の働きたい高齢者たち

イギリスにおける定年による退職者のうち、特に生活に困らないある一定以上の年金収入のある人々は、旅行やガーデニング、友人とのブリッジゲームで時間をつぶす、まさに「のんびり隠居生活」を謳歌できるはずです。

しかし、イギリスの過去15年に渡る世論調査の結果、300万人の現役世代が年金支給開始年齢後も働き続けたいと答える、まさにバートリー氏のような人々で溢れています。

アメリカの大手調査機関Gallup(ギャラップ)が2014年4月28日に発表した調査結果「Average U.S. Retirement Age Rises to 62」によると、アメリカ人の退職年齢は91年には57歳であったのに対し、14年には62歳まで延びました。

もちろん、経済的な事情で止むを得ずというケースもありますが、バートリー氏ように、働きたいから働くという人も少なくないことは明白です。

しかし、同調査結果によると、現在就労している人々のうち、退職してリタイアしたいと考えている歳は平均で66歳となっています。

日本ではご承知の通り、平均的な定年退職年齢は60歳から65歳ですが、その年齢よりも上の年齢まで働き続けたいと考えていることがわかります。

また、世界においても同調査の対象者のうち、すでにリタイアした人の平均退職年齢は62歳となっており、現在の就労者の希望年齢よりも4歳分若いということになります。 

出展:ガベージニュース - 米平均退職年齢は62歳に上昇、でも「66歳まで働きたい」

 

早期退職は、心身の健康に悪影響を与えることが判明

上記の統計結果から、働き続けたいという人が増加していることがわかりましたが、これは心身の健康にとって良いことをご存知でしょうか。

WHO(世界保健機関)によれば、自殺は全世界で年間80万人以上、推定40秒ごとに1件起きています。

そして、男女ともに70歳以上の自殺率が最も高くなっています。(レポートの詳細はこちら

出展:American Foundation for Suicide Prevention – Suicide Statistics

この結果は、もちろん高齢者になれば健康的な障害やそれによる金銭的な困窮による選択も多く含まれるでしょう。

しかし、働き続けることができれば、病気の発症率を軽減させられることが証明されています。 

フランスの国立保健医学研究機構(INSERM)は、42万9000人を対象に認知症発症率を調査しました。

その結果をまとめた2013年の報告書によると、60歳で退職した場合、65歳まで働く場合に比べて認知症と診断されるリスクが約15%高くなるという結果が出ています。

働くことは、精神的な衰退を防ぐのに役立つことは明白であり、人々を身体的に活発に保ち、社会的に人とつながり、精神的にさまざまなことに挑戦できるようになる傾向があることから、脳を若く健康に保つ秘訣は働くことだと、INSERMは結論付けています。(レポートの詳細はこちら 

健康が先か、働くのが先か。

当然、高齢でありながら働き続けるためには、健康であることは欠かせません。

リタイアしのんびりと暮らしながらゆっくりと筋肉と脳の衰えを迎えるか、その前に働き始めるか。はたまた、まったくリタイアをせずに働き続けるか。

昨今の若い世代は、祖父母世代の不健康な毎日の晩酌、喫煙といった悪習慣をやめたが、新たな問題も抱えています。

例えば、アメリカのスタンフォード大学のジェームズ・フリース名誉教授は、「現在のいわゆる若い世代は、祖父母の世代よりも太っている傾向にある」と言及しています。

信頼できる統計によれば、アメリカの成人の3分の2以上(68.8%)が、過体重もしくは肥満としています。

過体重は体の全体に負担をかけ、さまざまな病気の引き金となるまさに時限爆弾です。

爆弾がトリガーに接触してしまったが最後、キャリアを突然終わらせ、最悪の場合そのまま人生も終わらせることにもなりかねません。

2009年にアメリカ肥満学会の機関誌「オビーシティ」で発表された研究によると、25歳で過体重の人が中年期に肥満になると、健康を害し、早期退職するリスクが高まるとしています。

さらに気掛かりなのがアルツハイマー病の増加の問題です。

メールやチャット、無料ビデオといったITの進歩・普及により、人と直接話す機会が減っている状況も相まって、脳に深刻なトラブルが生じています。

NPOのアルツハイマー病インターナショナルは2013年、世界全体の認知症発症率が2030年には2倍に、50年には3倍になると予測しています。

出展:Epidemiology of Dementias and Alzheimer’s Disease 

現在の医学ではアルツハイマー病を食い止める手だてはなく、つまり、ミレニアル世代の認知症リスクは史上最悪の状況へと陥ると予想されます。

また、他人とのつながりが減っていることもこのアルツハイマーの問題を悪化させるでしょう。

現代産業の特徴の1つは、「リモート・テクノロジー」化であり、これがますます普及し、現在のスマートフォンの普及と同様に依存の状態まで辿りつくのは必然でしょう。

会議は電話会議とリモートデスクトップ(デスクトップ共有)で行われ、業務活動もクラウド上へと移行し、顧客との商談をはじめとしたさまざまなビジネス活動はオンラインのみで完結することも容易です。

直接チームメンバーが隣にいなくても、確認したい事項はデータとして簡単に参照でき、指示もタスクとしてクラウドサービスなどを介して割り当てられます。

新人指導といった活動もマニュアルのシステム化により、システムがマニュアル通りに誰もが動けるようアシストし、AI(人工知能)によるアシストを受けながら、ビジネスの効率は大幅にアップさせることが、当たり前となりつつある時代へと突入しました。

日本においてはまだ普及は追いついていませんが、これはアメリカをはじめとした諸外国においては当たり前のビジネス環境となっており、日本がそうなることも必然でしょう。

客先に訪問する必要性が減るだけでなく、会社に出勤する必要性もなくなり、自宅で業務を効率的に集中してこなせるようになるのです。

これはつまり、1日8時間以上、他人と接する機会が失われ、出勤などで移動する運動時間が削減され、結果として健康面にしわ寄せが来ることとなります。

アメリカの高齢者専門の精神科医であるゲーリー・ケネディ氏は、この状況に対し、「人との交流が失われる分、非常に大切な何かも失う」と、厳しく指摘しています。

今の若い世代は単発の非正規雇用が多く、職場への忠誠心も人間関係の構築に対する意欲も希薄になっています。

そうした働き方、生き方でも当座の生活には困らないかもしれません。

しかし、老後の精神的健康を保つために必要な情緒の安定は、このままでは決して得られることはないでしょう。

また、強固な社会的絆を持たない人間の脳は、深い闇に落ちる恐れがあると指摘する学術もあります。

2015年にアメリカのオックスフォード大学出版局の学術誌「労働、高齢化、退職」において、52から75歳の労働者1,200人を対象に調査を実施しました。

これによると、「愛する人間がそばにいない人」や「健康状態が悪化し始めている人」は、活動的な人に比べ、ドラッグやアルコールに溺れるリスクがはるかに大きいとしています。

またこれに対し、「健康上の理由で、定年後に有意義な活動への参加が制限される人は、特に労働力から外れると社会から疎外され、孤立し、退屈する羽目になる」と、研究論文の執筆者ピーター・バンベルガー氏は考察を残しています。

あなたも、定年を迎え、リタイアしてからしばらくは自由な時間がうれしいと感じるかもしれません。

しかし、そのうちに、冒頭のジョー・パートリー氏のように1日中のんびり過ごすことに嫌気が差し、まるで終身刑に服している気分になってくるでしょう。

孤独な退職者は特にそう感じ、パートリー氏のように「退屈で死にそうなのから救ってくれ!」と世間に訴えたくなることでしょう。

アメリカのスタンフォード大学のフリース氏は高齢者が健康に暮らす方法について、「誰にでも当てはまる公式を探す人々もいるが、私は懐疑的だ」とし、あれこれ指示し過ぎることを避けています。

もちろん、これまでご紹介してきたことは誰にでも当てはまることではなく、多くの統計から導きだしたデータに過ぎず、思い詰めるほど深刻に考えすぎる必要はないでしょう。

それでも、気を付けるべき基本的なポイントは3つあります。

それは、「普段からストレッチなどで体を動かすこと。」、「脳を刺激すること。」そして「他人と一緒に作業すること。」です。

この3つを抑えながら、自分が無理なく楽しく生活できるようにすることが理想的でしょう。

現在の若い世代は、こうした基本を身に付けていませんが、現在の定年を迎えるシニア世代の方々は体でのその重要性を理解しているのではないでしょうか。

また、人とのコミュニケーションを苦手とする方などでも、フリース氏は、「何を優先すべきかを見失わない限り悪い流れを変えることは可能だ」と述べています。

「長生きしたければ、とにかく活動的に過ごすことだ。」 

最後に

これまでのことから、早期退職は、心身の健康にさまざまな悪影響を及ぼすことが分かってきました。

金銭的な面での充足としてはもちろん、健康で長生きするために、70代、80代にになっても、無理なく、可能な限り人とつながり働き続けることが大切です。

そして、この風潮が続けば、2000年前後に成人した、いわゆるミレニアル世代をはじめとした、今の現役世代にとって「悠々自適の老後」は過去のものとなり、新たな生き方へと続く道を伊吹となることでしょう。

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