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2018.12.10

TP Interview 003:株式会社CAMPFIRE FAAVO/CAMPFIREローカル事業部 北山憲太郎(後編)

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TP Interview 003:株式会社CAMPFIRE FAAVO/CAMPFIREローカル事業部 北山憲太郎(後編)

やってきたことの蓄積が人を惹きつけ、カタチとなっていく

 

PR会社、プロモーション会社などでプランナーを経験後、地域×クラウドファンディングサービス「FAAVO」の運営を行なう会社に入社した北山氏。2018年7月には、事業部が株式会社CAMPFIREに丸ごと譲渡されるという経験をしている。

現在は、株式会社CAMPFIREの社員として、クラウドファンディング「FAAVO」の運営などに関わっている同氏に、起業家のための上手なクラウドファンディング活用術について話を聞いた。

「クラウドファンディングは『資金調達の手段』で終わっては、もったいない」
と語る、北山氏の真意に迫る。

 

面白さみたいなものを突き詰める必要があるなって

【夏野】(前編)で、クラウドファンディングに至った理由や「うまくいっていないこと」を聞いて、やるならば相談にのると言っていましたが、
ユーザーにプロジェクトの相談をされた際、何か提案することもありますか?

【北山氏】
あります。
例えば NPO などで山を掃除している活動をしてますが、資金難なので支援してくださいというプロジェクトがあったとします。

【夏野】良い話は良い話ですけど……。

【北山氏】
山の清掃それ自体は日本各地でやられていそうだし、たとえばいきなりそれを聞いた自分としては自分の生活と直線接点がないので、支援するかと言えば、たぶんしないかなと。

なので、

「その活動すごくいい」、「里山清掃をしたい」と思わせる理由や、面白さみたいなのを突き詰める必要があるなって思うんです。

例えば鬼ごっこしながらゴミ拾ってくるというような、そういう遊びを通じてゴミ拾いをして、結果、山は綺麗になった。そういうプログラムを作って各地に広めたいみたいな……。

【夏野】それは面白そうですね。では資金調達を考えている企業は、プロジェクトをするにあたり、どういう点に気をつければ良いですか?

【北山氏】
そもそも相談にこられる企業では体感的にお金が欲しいみたいな会社ってそんなにいないですね。
あるのはどっちかというとプロモーションに難があるとか、作ってはみたけれども本当に受けるのかどうかとか。なので気をつける点としては、

しっかり目的を定めたプロジェクトであることを示す必要があります。

その上で、もしそういうお悩みと言うか課題感があるんだったら、1回クラウドファンディングをやってみるのも良いかもしれないですね。

あとは、並々ならぬこだわりが表現された商品の場合は、固定のファンが着くと思うので、ファンを集めるためにやってみる。
そういう使い方もいいと思っています。

【夏野】CAMPFIREは、相談できるようなので心強いですね。

【北山氏】
そうですね。
例えばこれからクラウドファンディングをやろうと思っている人は、運営側の人にプロジェクトのプランなどについて積極的に相談してみても、いいかなって思います。

担当はいくつかの案件を持っているので、どうしても1案件にかける時間には限りがあります。
でも「自分のプロジェクトは良いプロジェクトである」と、熱意を込めてやっている方には、(こちらも人間なので)時間を作ろうと思ってしまいますよね。

【夏野】そこもプレゼンですね。

【北山氏】
結局、まったく関係ない人に「これ買いませんか」とやるのがクラウドファンディングなんで、それを1番接点でかつ最初に見聞きする第三者である担当者にできなくては、ユーザーにはもっと届きにくいはずです。

クラウドファンディング運営者は、基本的にうまくいかないとお金が入って来ない成果報酬なので、みんなうまくいくために、いろいろなアドバイスをします。単純な集金サイトみたいになっちゃうと、お互いもったいないなって。

【夏野】プロジェクトを達成させるために大切な本質的なことって、何でしょう?

【北山氏】
個人的に現状のクラウドファンディングの表現として、(プロジェクトを達成させることは)信用をお金に変える行為と説明する人がいるんです。その人が培ってきた人間関係とか、やってきたことの蓄積。そしてこれからやろうとしていることの実現性や効果。それが広まっていくことでみんなが信用してお金を出す。

これについては僕もそういうことだと思うので、もしうまくいかせる方法を考えたら、自分の信用されてる部分をちゃんと棚卸して、それがどれだけお金になるのかと突き詰める必要があります。

では信用をどう作るかという話になった時には、当然自分はそのプロジェクトに対して熱意があって、実現のためにすでにあれこれ動いていて、共鳴してくれる協力者もいること。
そして、端的には自分のツイートに反応してくれる人が多数いることだったりします。

【夏野】やはりSNSは大事ですか?

【北山氏】
大事ですね、ですが信用を得る、つくるって観点からすれば1つの要素ってところですね。

【夏野】やっぱり起業するからには、多少の影響力を持ってないといけないじゃないですか。SNSも強化した方が?

【北山氏】
そうですね。別にフォロワー1000人作れってことではないんですけど、「この人はこう言うよね」、という自分と他人の認識が一致するようになればいいかなと。そうすると何かやろうとした時に、「ちょっとお手伝いしてあげられるかも」となるので。

フォロワーの数ではなく、周りにどういう人を囲うかだなと思います。

そう考えるとオンラインに限らずオフラインでも強力なネットワークがあれば、それはそれで活きるだろうし、ってところですね。

【夏野】周りが大事なんですね。

【北山氏】
なのでそういうものをひっくるめて、固有の経済圏というか領域みたいなものを、ちゃんと輪郭作っておくと良いと思います。

やっぱりクラウドファンディングでよくあるのが「やるんだったら支援するよ」と言うんですけど、一向に支援しなかったりとか。そういう「支援するする詐欺」は、しょっちゅうあるんで。

本当にあなたのこと応援してくれる人とか、面白いと思う人を探すのが重要。効率的に探すなら、クラウドファンディングは1つのチャネルとしては良いかなと思います。

【夏野】クラウドファンディングで色いろなアイデアを見てきて、自分でやりたいと思ったりしませんか?

【北山氏】
結構ありますね。
でもいまやりたいこととして考えているのは、たとえばすごいアイデアを持ってくる人たちのの実行を支援するために、何かやれたらと往々にして思っています。

たとえば、プロジェクトページを書くのに、難儀する人が多いんですね。それをAIがやってくれたらと思うんですけどね。

【夏野】なるほど、私の仕事を奪う感じですね(笑)。

 

転ばぬ先の杖というか、そういう認識が広まってくれれば

【夏野】プロジェクトの設定期間の長短に、何か違いはありますか?

【北山氏】
全くないですね、長ければ集まるってもんじゃない。今だいたい1カ月から1カ月半が多いです。

【夏野】その期間、どんなことをしていれば良いのでしょう?

【北山氏】
ひたすら広報ですかね。
私はこんなことやりたい、なぜやりたいか。今日誰々と会いましたみたいな、そういう日々の出来事をしっかり言いふらすことが大事かなと。

クラウドファンディングって最初と最後の1週間なんですよ、一番支援が集まるのは。

なのでどれだけ長くても中だるみがあります。自分はすごい頑張ってるけど支援に反映されない何日間かは、必ず発生します。

そこで折れちゃう人が多いんです。
なので最大80日設定できるんですけど、80日あった時に本当正味60日~70日くらいは 進捗率達成率30%みたいな感じで推移するので、よほどメンタルがタフじゃないとあんまり長く設定するには、オススメしてません。
ただ、その状況でうまくいくと思える人は起業家に向いてると思います。

でも大半の人はそうじゃないので、最初は目標金額もそんなに高くしなくていいし、日数もそこそこ平気な日数をやって、まず最初のステージ(プロジェクトを成立させること)を越えてもらうことが、すごい重要だと思っています。達成できる目標を達成するみたいな。

【夏野】なるほど。最初にちょこっとの山を越えて、次を目指すイメージですね。

【北山氏】
たとえば商品・サービスがあった時に、まずユーザーの声を聞くために目標10万円ぐらいでプロジェクトやってもらって、10万集まったら万々歳。いかなかったら原因があると思えば良いと思っていて。

そういう小さい失敗っていうのを低コストで勝手にできるのが、クラウドファンディングの良さです。

それでもし10万円集まって、支援してくれた人と色々議論を交わして、(さらに改良をして)すごい良いものができた時に、初めて目標金額100万円に設定する。そうやって勝負をすればいいと思います。

【夏野】最初からドーンとやるものだと、勝手に思い込んでいました。ちょこちょこと積み重ねていく中で、支援者の方とどんなやり取りができるんですか?

【北山氏】
サービスにメッセージ機能があるので個別に支援者とやり取りできますし、SNSでつながっている人とやりとりしてもらうことも積極的にやるといいと思います。

プロジェクトが成立して終わったら支援者リストをダウンロードすることができます。それは顧客リストになります。
購入型クラウドファンディングはモノ・サービスの売り買いを仲介しているので、言い換えると30日限定の EC ショップを立ち上げるみたいなイメージですね、クラウドファンディングは。

目標金額=売上なので、1カ月ECショップをやって売り上げ10万目指すみたいようなものです。10万も行かないプロダクトだったら、改善し、やり直すこともできる。
普通だったら10万かけてからなんらかの販促活動をすると思うのですが、使ったお金は戻ってきません。
でもクラウドファンディングは10万いかなかったらやめるというか、それ以上やんなくてもいいので、もともと入れる予定だった10万を、別の用途に振り分けられるわけです。

転ばぬ先の杖というか。受注生産みたいなものです。

そういう認識が広まってくれれば、もっとライトな感じで支援することもできるのかなって。

 

「クラウドファンディングは、メリットしかない」って、よく言われます。

【夏野】クラウドファンディングから生まれた、ビジネス事例を教えてください。

【北山氏】
CAMPFIREでチャレンジいただいているオールユアーズというアパレルメーカーは、クラウドファンディングを使ってファンづくりをしながら受注生産の物づくりをしています。
ジーンズやシャツを作って、1回当たり100人ぐらい、うまくいけば500人の買い手が集まっています。

何がすごいかというと、「連続起案する」と宣言して実行しているところです。クラウドファンディングはプロジェクト1回の成否に過剰に焦点があたっていると思っていて、もちろん毎回大事なチャレンジであることは理解しているのですが、連続起案となれば当然あたりはずれがあるので「目標に到達しなかったらどうしよう」という壁を乗り越えられると思っています。オールユアーズさんは、連続起案を通じてそれが実って強力なファンがついて、リピートで支援してくれる人もいる状態になっています。

ついにはファッション界隈ではかなり権威のある「毎日ファッション大賞」にノミネートされました。
「権威ある賞にノミネートされたのは支援していただいた人のおかげ」としてそれもみんなでお祝いしたいとプロジェクトを立ち上げ、実際に行なっていました。そういった柔軟なプロジェクト実行も含めて、クラウドファンディングから生まれて、すくすく育ってきてるブランドだと思っています。

この例を応用すると、

10、20、30万円と小刻みにプロジェクトを重ねて、どこかの段階で大きくアクセル踏み込んでやるようにすると、良いと思います。

うまくいかなかったらどうしようから、うまくいくかどうかも織り込む。最初から連続して何回もやることを想定して実施するのがうまい活用法だなと思います。

【夏野】逆に失敗しても次あるかもしれないみたいな感じで考えられる。

【北山氏】
そうですね、10回やって10回当てるってなかなかないので。オールユアーズさんの事例は本当にすごいです。

【夏野】オールユアーズがうまくいってる秘訣ってなんだと思いますか?

【北山氏】
やっぱり物が良いってのももちろんですけど、

やはりユーザーさんとコミュニケーションをとっている。巻き込みながらやっているところが、すごくいいなと思います。

あとはちゃんと顔出ししているので、主催している人のキャラに「いいね」と思う人たちが集まり、うまくまわっているのかなと。

 

本当に時間をかけてやっていいものか迷った時は、気軽に相談してください

【夏野】それでは、これから起業家したいと思っている人に、どんなことを伝えたいですか。

【北山氏】
とりあえず小さいことから始めて欲しいです。賢く始めるというか、クラウドファンディングのように「うまくいかなかったら(支援が集まらなかったら)、やらなくていい」という同意のもとでやるのは、賢いやり方かなと思います。

かなり虫の良い考え方に聞こえますが、クラウドファンディングは挑戦のハードルを下げる仕組みだと思っているので向いている考え方だと思います。

そもそも、自分のアイディアの市場性を確かめるやり方って、あんまないと思うのです。

【夏野】確かに、そうですね。

【北山氏】

いま金融機関との連携が進んでいるんですが、クラウドファンディングでそこそこ当たりそうなものがあったら、そこの実績ベースで銀行に融資してもらうことも可能です。今までなら担保が必要、返済できそうな人にしか貸してくれない、などあったと思うんですけど。今だったらそういう裏付けがないけれども、クラウドファンディングの成果で何名ファンがいますなどで融資に至る場合もあります。

銀行としても、新しい領域に踏み出すための証拠作りみたいなものに、クラウドファンディングを使ってもらっています。

【夏野】それは大きいですね。では、最後にメッセージをお願いします。

【北山氏】
もしアイデアややりたいことがあって、(それに対して)本当に時間をかけてやっていいものか迷った時。気軽にCAMPFIREやFAAVOなどの、クラウドファンディングに記事をアップしてもらえるといいかなと思います。そこでお客さんの声が集まってきたら、はじめて本当にするかを決めてもらうという、そんなライトな取り組みでもいいので、ご相談ください。お待ちしています。

 

<取材を終わって>

とても気さくにさまざまなことを教えてくれた、北山氏。クラウドファンディングを使うことで、リスクをあまりかけずに自社製品のニーズを知ることができるとわかった。

クラウドファンディングで目立っているプロジェクトは高額なものばかりだ。そのため、足を踏み入れることに多少の勇気を伴う。「こんなに支援が集まるだろうか」と。

しかし、「小さな山」を1つ1つ越えていく流れでもOKなら、とても身近で頼もしいサービスといえるのではないか。しかも自社商品の宣伝にもなり得る。

プロダクトはあるのに、その後の展開に不安を抱えている人は、ぜひCAMPFIREやFAAVOに相談してみるのも良さそうだ。その際には、熱意とプラン設計をお忘れなきよう!

<参考記事>
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