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2019.02.14

TP Interview 007:TRICHROMATIC COFFEE 石原剛氏(前編)

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カフェ未経験・人脈ゼロから始めたスペシャリティコーヒー店経営、成功の秘密を探る

 

地下鉄丸ノ内線「中野新橋」駅を出て左に曲がると、ウッドデッキのあるカフェスタンドがある。その名は「TRICHROMATIC COFFEE(トリクロマティックコーヒー)」。光がそそぐ明るい店内で果実味溢れるスペシャリティコーヒーをはじめ、搾りたてのフレッシュジュースや手作り菓子、ケーキがいただけるサードウェーブコーヒー店だ。今回は、この店のオーナー石原剛氏に、起業のこと、お店への想い、そして起業成功のアドバイスなどを伺った。

石原剛氏プロフィール

大学院で経営学を学び、卒業後電子部品を取り扱う商社に入社。5年ほど財務部で経理を任されていたが、夢を叶えるため退職。2017年9月にカフェスタンド「TRICHROMATIC COFFEE」をオープンした。

1.「TRICHROMATIC COFFEE」をはじめた理由

インタビュアー:商社で財務部として働いて、畑違いのコーヒースタンドを作ろうと思ったのはなぜでしょう。

石原氏:
高校1年から飲食店でバイトをしていたので、飲食店のイロハは知っていました。何かビジネスをやりたいと思っていた時に、自分で何かやるなら飲食店かなというのはありました。

 

インタビュアー:でもなぜコーヒーを?

石原氏:
コーヒーは昔から一つの趣味みたいな感じでいろんなコーヒーショップをまわったり、焙煎したりしながらいろいろと勉強していたので。飲食店をするなら自然な形でコーヒーショップかなと。

コーヒーが好きというのも理由の1つですが、それよりも自分で何かをやりたいというのが大きいですね。
大学院は経営系で自分の専門は会計学でしたので、商社では会社のお金を計算する部署で、資金繰りなども見ていたんです。自分で何らかのビジネスをやりたいと思い、そういう会社を選びました。

 

インタビュアー:そこからもう起業は頭の中にあったんですね。

石原氏:
その時コーヒー屋さんって具体的にはっきり決まってなかったんですけど、ただ自分で必ず何かやりたいと思っていました。それは準備期間と言ったら、ちょっと言い過ぎですけど、でも自分で何かをやりたいと思ってお店の数字周りの勉強もしていました。

 

インタビュアー:学生の頃から先を見据えて動いていたんですね。

石原氏:
そうですね、そう言ったらかっこいいですけど、そうですね(笑)。

 

インタビュアー:大学院で、大学もそこの系統の大学だったんですか?

石原氏:
正確に言うと、大学と大学院違うんですけど、またちょっと会計が勉強したかったんで、会計が強い大学院に行ったんです。

2.開業で大変だったこと

インタビュアー:では、いつ頃から開業準備を始めましたか。

石原氏:
商社に入って3年経ったぐらいからです。オープンまで2年ほど準備期間がありました。
物件探しもそうですが、店舗のデザイナーさんもすごく探しました。もちろん、物件探しが一番時間がかかりましたけど。あとはコーヒーショップのエスプレッソマシンを扱うには技術が必要なので、そういうスクールに通ったりとか。
あと、お金も貯めましたね。銀行とのやり取りとか、すべて含めて2年ぐらいです。

 

インタビュアー:最初にやり始めたのはどこからですか?

石原氏:
最初はデザイナー探しです。自分が好きなカフェがいくつかあったので「ここの設計士さん紹介してください」とコンタクトを取っていきました。あと設計士さんが主催してるセミナーにも行ったり、有名な人だとイベントとかに行けばその人に会えたりするので。そうやって自分みたいな脱サラ第一店舗でも、快く引き受けてくれる人を探しました。
結局、紹介してもらって個人的にコンタクトを取った方にお願いした次第です。

 

インタビュアー:なぜ最初にデザイナーを探そうと思ったのでしょう。

石原氏:
コーヒーショップやカフェは居心地が重要だと思っています。自分の好きなカフェのイメージを実現したかったというのもありますが……。デザインの世界にいた訳ではないので、自分ひとりの力では、こんなお店にしたいというイメージがあっても形にできない。それでプロの力を借りようと思いました。デザイナーさんを使わないでお店をオープンする人も多いですが、私がやると素人の店になるんじゃないかと。なのでカフェに関しては、デザインに一番お金をかけていいと思っていたんです。

 

インタビュアー:どんなデザインのお店にしたかったのですか?

石原氏:
まさに、こんな感じです(笑)
結構言い出したらキリがないんですけど、日差しがたくさん差し込む明るいお店にしたかったですね。

デザインとは関係ないんですが、駅から近い場所を探しました。地図を見ながら行くようなお店じゃなくて、ふらっと立ち止まって「あれ? なんだこのお店」みたいな感じで入ってくれるようなお店にしたかったんです。窓が一つで何やってるか分からないお店は絶対に嫌だったので、シンプルで開放的な感じのデザインにしました。

あと壁の色を白や黄色にすることでお店を意図的に明るく見せています。角地なので日差しがたくさん入る分、夜になると暗いわけです。電球の光を反射するように、白とか黄色の壁色をメインにしました。

 

インタビュアー:そこまで考えられて造られたんですね。では「中野新橋」駅から徒歩20秒のこの場所を選んだ理由は何だったんですか?

石原氏:
場所を選ぶ際、例えば家賃のレンジ(範囲)はもちろん、大きさと家賃のレンジと駅から何分とか条件を細かく設定しました。
あと、実は学生時代この辺でアルバイトをしていたことがあり、土地勘があったんですよね。決して人が多い街ではないんですけど、なんとなく下町っぽいというか、すごく温かい街だと知っていたのでここにしました。

うちみたいなお店が少ない地域なので、実際「できて嬉しかった」と言われるので、良かったなと思います。

 

インタビュアー:こんな店が家の近くにできたら、私も嬉しいです。でも開業する際、苦労した点もあったのでは?

石原氏:
前職にこの業界で働いていたわけでもないので、頼る人がいませんでした。例えば正社員でコーヒーショップで働いていた方には師匠がいるものです。
その人の名前を借りてオープンすることもあります。コーヒー業界ってすごく狭くて、どこどこ出身というのは一つのその人のキャリア。有名店の場合「うちの従業員が独立して、オープンしました」とインスタにあげてもらえれば大きな宣伝になっていく。そういう世界なんです。

うちは完全に無所属。コーヒースクールで基本は教えてもらいましたけど、そういう意味での専門的なアドバイスはなかったので。普通だったら一度コーヒー屋さんで働いてオープンする人が多いと思うんですけど、自分はそこを飛ばしました。

なので自分の好きなカフェに行って積極的に店員さんに話しかけて、オーナーさんがいたらオーナーさんと話しをするようにしました。だからデザイナーさんも紹介してもらえたんです。いろんな人と接点を作りましたね。

 

インタビュアー:他にも大変なことはありましたか。

石原氏:
やはりお金の問題ですよね。サラリーマン時代の貯蓄を計画的にしていたのが大変でした。開業前の2年間は、月給の半分くらいはお店のために貯金していました。お金借りるにしてもある程度ないと向こうもお金を貸してくれないので。

 

3.こだわりをもつこと

インタビュアー:「TRICHROMATIC COFFEE」のお店づくりについて教えてください。

石原氏:
うちは毎日来てもらいたいお店を目指しています。この辺りにはスペシャリティコーヒーを扱うサードウェーブコーヒー店はないのですが、周辺の喫茶店に比べ、うちのコーヒーは価格を安く設定しています。厳選した高くていい豆を使っているんですけどね。でも「日常的に使ってもらう店」というコンセプトでやっているので比較的安い料金帯にしたんです。わざわざ調べて来てもらうお店じゃなくて、本当に毎日ふらっと入って、ふらっと「おはようございます」「おかえりなさい」と会話する。結果的に地域超密着型になったお店だと思っているんで。

 

インタビュアー: そんな気軽に「おはよう」「おかえり」と声を掛けてくれるものですか?

石原氏:
うちのお客さんはそうですよ。声をかけてくれるし、進んでこっちも声かけます。「おはようございます」って。
街歩けばお客さんと必ず出会うし。

 

インタビュアー: ちょっとした有名人ですね(笑)。

石原氏:
でもこの街の商店のオーナーさんはみんなそうなんです。みんな本当にあたたかい人ばかり。

 

インタビュアー: そういう街なんですね。

石原氏:
毎日来てくださる方もこっちから進んで声かけして、世間話とかしますね。
例えば清澄白河にはコーヒー屋さんがすごく多いんですけど、あの辺りにはコーヒー・スタンドもいくつかあって。店員さんを囲むようにお客さんが座って、一緒にそこで談笑する。うちも蓋を開けてみたら実際そういうお店になっていて(笑)。

 

インタビュアー:すてきですね、そういうの。今度、お客さんがいる時にお邪魔してみたいです!

石原氏:
ぜひぜひ。

 

インタビュアー:ところでメニューで工夫をされている点はどんなところですか。

石原氏:
うちはスペシャリティコーヒーの店なので、コーヒーにはこだわっています。3社の焙煎屋さんと契約して基本的に毎週、新しい豆を入れるのが一つのスタンスです。

あと基本的に焙煎してから2週間以内の豆しか使いません。細かく言うとドリップコーヒーに関しては、どんなに長くても2週間以内の豆を使う。それくらいまでが、豆のフレーバーがよく出ると思っているので。エスプレッソはエスプレッソマシンで淹れるんですけど、逆に時間が経った豆の方が風味が出たりするんですね。それに関しては、2週間から1ヶ月くらいの豆を使います。

また、うちが扱っているスペシャリティコーヒーは浅煎りです。浅煎りのコーヒーは苦味が少なくフルーティーな香りがするので、ぜひ多くの人に楽しんでもらいたいというのが強くあります。ブラックコーヒーが好きな人って、まだまだ女性より男性の方が圧倒的に多いので、女性にも楽しんでもらえるよう意識しています。

そのために例えば今日だったら、メニューの「グアテマラ」のところに「みかん、レッドグレープ」と店側が感じるフレーバーを分かりやすく書いています。

 

インタビュアー:たしかにこれだと女性も興味がわきやすいですね。

石原氏:
毎週変わるので産地というよりも、「今日ちょっとアールグレイっぽいコーヒー入ったんだね」という感じに楽しみにしてくださっています。

 

インタビュアー:毎週変わるっていうのも楽しみのひとつですね。

 

「TRICHROMATIC COFFEE」のオーナー石原氏は、業界に知り合いがいないところから、今のお店をつくり上げていった。積極的に人と関わり、先を見据え準備をしていくことで「何か自分でやりたい」という夢を叶えたのだ。後編はSNSを活用した集客についての考えや、今後の展開、そしてカフェをつくりたい人へのアドバイスも教えてもらう予定なので、お楽しみに!

 

<参考リンク>

TRICHROMATIC COFFEE

 

The Turning Point参考リンク
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