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2018.07.26

徹底解説!ステップでわかる事業計画書の作り方

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事業計画書は既存・新規問わず事業(ビジネス)を正しい道へと導き成長させるために重要であることは前回の記事「事業計画書とは何か。概要と作成メリット」でご紹介しました。

事業計画書を作成することは事業を最短距離で目標達成させる為に必要なものであり、同時に事業に対する社内・外からの理解や協力を得ることができるなどさまメリットがあります。

一方で、事業計画書の作成には手間がかかるものであり、どのように作成したら良いのかとつまづく人が多いのが事実です。

また、事業計画書を作成することが初めての方は何からはじめ、どのように作るところから考えなければならず情報を集めるうちにこの記事へとたどり着いた方も多いでしょう。

そこで今回の記事では、事業計画の作り方をステップごとに作成完了までじっくりとご紹介し、この記事だけでしっかりとその全容をつかめるように導いてまいります。

事業計画書を作成することは確かに大変であることに変わりはありませんが、一度作成すればそれを改善させながら企業の方針として有益に利用することができますので、長い記事にはなっていますが最後までご一読されることをおすすめします。

ステップ1 会社概要を書きましょう

まずは事業計画の書き始めとして、商号、所在地、役員、株主構成、電話番号、ホームページアドレス、メールアドレス、主要取引先、主力商品、代表者経歴といった会社のプロフィール情報について書きましょう。

技術、スキル、ノウハウ、資格、組織力、企業風土などの観点から、自社の強みについて書いていきましょう。

もちろん創業前であれば予定の情報で結構ですが、その場合は特に代表者経歴が重要となります。

創業者の事業に関連する経験やノウハウ、スキルをどれだけ持っているのか、代表者の事業に対する想いなどを記載するようにしましょう。

ステップ2 事業計画の検討体制を整備しましょう

さてここからが本格的な事業計画書作成の着手となります。

ビジネスプラン策定の第一歩として、策定担当者を決める必要があります。

担当者は経営者一人とするケースや経営層を交えるケース、さらには社員を集めるケース、またさらに外部のコンサルタントも交えた場合などさまざま考えられます。

複数メンバーで策定する場合は、円滑な進行を実現するためリーダーやメンバーの役割分担を明らかにしておくとよいでしょう。

また、新規事業に関する計画の場合は特に、新しい取り組みに立ち向かう社員同士の固い結束が求められます。

そのため、ビジネスプランの策定に当たっては、可能な限りの社内のさまざまな人材が参加できる検討体制と、自由に意見やアイディアを出し合えるような雰囲気づくりができるようにしておくと良いでしょう。

計画づくりへの着手を多くの社員に伝えることは、担当者以外の協力や理解も得られるようにすることが大切ですが、その伝えるタイミングやその方法については配慮が必要です。

事業計画の策定がされること、特に新規事業に対する動きがあることを体制や方向性が不確定な段階で社内に広まってしまうと「何か我々に影響がある動きがありそうだ」という話から、予定とは異なる誤った情報が流れるなど不要な混乱を招くことがありますので、社内での情報漏洩には注意し、しかるべきタイミングで経営者や事業部長などから社内メンバーに計画づくりへの着手を通知されるようにしましょう。

ステップ3 事業計画作成のスケジュールを設定・管理しましょう

事業計画を作成する体制が整ったら、次に事業計画を作成し実際に実行に移すまでの大まかなスケジュールを定めましょう。

特に事業計画作成完了の予定日を明確に定め、ズルズルと伸びないように注意することが大切ですので、その過程のスケジュールについてはざっくりと切るように後で必要に応じて調整する形で問題ありません。

このスケジュールの設定では、スケジュール表の作成による進捗の管理が有効です。

事業計画作成の流れとしては例えば、体制づくりについての検討→現状分析→戦略の設定→組織計画→マーケティング計画→組織計画→財務計画→実施計画→事業計画書への落とし込み→社内浸透・意見のフィードバック→反映→社内浸透といった流れが考えられます。

また経営者層など日々忙しいメンバーたちによる策定となるため、あらかじめ可能な限り先まで検討打ち合わせのスケジュールを設定するようにしておくと、遅滞の防止が図れるでしょう。

ステップ4 現状分析(SWOT分析)を実施しましょう

SWOT分析とは、企業の戦略立案に用いられる分析手法であり、自社を取り巻く様々な要素を外部環境である「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」内部環境の「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」の4現象に分類したマトリックス表にまとめるビジネスフレームワークです。

外部環境としては、国や業界全体に影響を及ぼす人口構造や景気変動、法規制、技術革新などのマクロ環境や顧客の特徴・ニーズ、競争状況などのミクロ環境があります。

こうした情報を元に、自社の成長の機会や存続・成長を妨げる脅威を明らかにします。

このSWOT分析では、主観的な視点を徹底的に排除した上で実行される必要があるため、直接的に影響を受ける可能性が少ない人員を分析担当にあてたり多角的視点の取り入れとして複数チームによる分析を行うことも有効でしょう。

また、内部環境の分析には、自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)が該当します。

特に技術開発力が高い営業力が不足しているなど事業計画をより円滑に実行させるために必要な自社の経営資源の状況を冷静に把握し、競合他社と比較することで、自社の強みと弱みを明らかにしていきます。

ステップ5 現状分析(問題・課題の抽出)を実施しましょう

そしてSWOT分析の結果を踏まえ、自社の問題・課題点を抽出します。

この分析では、「強みを活かして機会を捉える」あるいは「強みを生かし弱みを克服する」、「強みを生かし脅威を回避する」など、強みと機会・弱みと脅威の組み合わせが問題・課題の抽出ポイントとなり、新製品の開発や新規市場の開拓などといった問題・課題が浮き彫りにしていきます。

また、場合によっては弱みと脅威を併せて考えることで、事業の縮小・撤退といった問題・課題がでてくるかもしれません。

もちろん中小企業の経営資源は常に限界と向き合いながら取り組む必要性があり、一度にすべての問題・課題を解消することは困難です。

必要なのは自社が抱えている問題を把握し、それを前提とした戦略を立てることであり、このステップ4・ステップ5では、SWOT分析を活用し、自社にとってもっとも重要かつ優先すべき問題・課題を明らかにすることが重要なのです。

ステップ6 テーマ・戦略の策定しましょう

事業計画書に記載する内容を端的に表現するテーマを一文で表すキーワードを設定しましょう。

ここでは、事業計画書が目指す目標や自社が目指すべきあるべき姿をあらわしたものと考えるといいでしょう。

現状分析や問題・課題の抽出に加え、自社の経営理念や経営者や会社の夢・想いなども加味しながら、事業計画を通じて「何をやるのか」「何を目指すのか」がはっきりと伝わるようなテーマを設定しましょう。

また、戦略とは文字どうり戦うための策略であり、ここでは「事業計画書のテーマを実現するための方針」となり、戦略は組織計画やマーケティング計画、生産計画など、分野別計画の具体的な内容を定める上での方針にもなります。

自社の現状からあるべき姿に至るまでの方針や現状とあるべき姿の間に存在する問題・課題の解決に向けた方針を戦略としてまとめましょう。

なお、戦略の構築には、前述のSWOT分析のほか、製品・市場のマトリックスや3C分析など、ビジネスのフレームワークと呼ばれる分析手法がよく用いられます。

過去にご紹介した「2018年保存版-事業戦略で使えるフレームワーク32選」では、

・戦う組織をつくるフレームワーク

・新規事業の立ち上げに役立つフレームワーク

・事業戦略を立てるときに役立つフレームワーク

・事業戦略を進めているときに役立つフレームワーク

の4つに分けて概要をわかりやすくご紹介しています。

ビジネスのフレームワークにはこの戦略立てに役立つものがたくさんありますので、ぜひ活用すると良いでしょう。

ステップ7 組織計画を作成しましょう

組織と戦略の関係は不可分であり、戦略が示す企業の方針に対応した組織計画の作成が重要になります。

アメリカの経営学者チャンドラー(A.D.Chandler)氏は、組織は戦略に従うという言葉により戦略に適応した組織原生の重要性を唱えています。

組織計画の作成にあたってはまず、戦略を踏まえ社内各部門の業務内容と人員配置を見直す必要があります。

事業戦略の推進により、各部門に「どのような業務が求められるか」「どのような人材が必要なのか」をといった状況を整理します。

その際、社内各部門の位置付けや関連をまとめた組織図や各部門・各社員の役割をまとめた業務分担表の作成が有効であり、業務内容と人員配置の見直しの結果、技術・ノウハウの不足が懸念される場合は、社員への教育訓練を、人員の量(マンパワー)が不足する場合は、新規の雇用を検討します。

また、必要な人材が社内で補えない場合は、他社との協力を図るなど、企業間連携の具体策やそれに必要な予算をまとめます。

上記を整理した上で、計画各年に置ける各部門の人員や人件費をまとめていきましょう。

人件費には一般管理費(従業員給与や役員給与、賞与、賞与引当金繰入れ、福利厚生費、退職金・退職給与引当金繰入れ)や、売り上げ原価に含まれる労務費(福利厚生費、退職金等)、派遣労働者、短時間労働者の給与など、ヒトに関わる全ての費用を含めます。

また、新規雇用や退職に伴う人員の変動を考慮し、将来の人員・人件費に反映させましょう。

ステップ8 マーケティング計画を作成しましょう

ビジネスプランの中で、商品・サービスを顧客に提供するための取り組みがこのマーケティング計画です。

マーケティングとは、「誰に」「何を」「どのように」を決めることといわれており、つまり、ターゲットとする市場・顧客(誰に)や提供する商品・サービス(何を)、接客や販売の方法(どのように)を明らかにすることが、マーケティング計画の全体像となります。

事業計画書で取り上げる商品・サービスは、この「誰に」「何を」「どのように」を意図したものかを検討しなければならず、そしてそれを具体的に、各年の販売量と売上高の目標値を設定します。

将来の販売量や売上高の正確な予想は簡単なことではありませんが、過去の販売実績などを踏まえ事業計画で取り組む事業に対する市場・顧客ニーズを探ることで目標を立てられます。

また試算の際には、顧客別・商品別に目標を設定し、企業全体の販売量・売り上げ高を算出する方法も考えられます。

さらに、マーケティング要素の組み合わせ、つまりマーケティング・ミックスも検討します。

マーケティング・ミックスとは、マーケティング戦略において、望ましい反応を市場から引き出すために、マーケティング・ツールを組み合わせることであり、つまり企業が立案したマーケティング戦略を、商品企画や広告宣伝、営業活動など実際の行動にスムーズに落とし込むためには、いくつかのフレームワークを組み合わせて使います。その代表的な例が4Pといわれるマーケティングフレームワークです。

この4Pとは、4つのPの軸において分析するものであり、それぞれ「製品・商品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」をさします。

「製品・商品」では、製品の品質やサービス、ブランド、デザインなどの観点から、販売量や売り上げ拡大に向けた実施内容を定めます。

また、「価格」では製品の価格や割引、支払期限、信用取引条件を、「流通」では、流通チャネルや在庫管理、配送体制を、「プロモーション」では広告宣伝や半分愛促進の方法や費用などをそれぞれ検討します。

販売量、売上高の目標達成には、マーケティング・ミックスの4Pを有機的に結びつけ、相乗効果を発揮させることが重要になります。

ステップ9 生産計画を作成しましょう

生産計画とは、製品(商品)の製造に関わる取り組みをまとめた計画であり、製品の開発や生産要素、生産量などを明らかにします。

ここでは、製造業の場合だけでなく、サービス業における顧客へのサービス提供までの取り組みなどあらゆる業種が対象になります。

製品を新たに開発・生産する場合は、開発方法や製品化・量産化までのプロセスを明らかにし、技術の細かい内容まで説明する必要はありませんが、製品の特徴や開発の状況、製品化の見通などを簡潔にわかりやすくまとめましょう。

そして、製造に必要な生産要素(自社の設備や材料、人材、技術・ノウハウ、外部資源など)を明らかにします。

新たな生産の要素を導入する場合は、設備(機器装置など)の種類や投資金額、必要な人材、技術上の問題と解決方法、ノウハウ取得の教育訓練、外部企業の活用などの内容を定めるとともに、それぞれの導入時期も明らかにします。

ここでのポイントは、過剰な設備投資や人材の質・量の不足など、生産要素に過不足が生じることがないよう検討を加えることが大切です。

もちろん計画期間中の製品の生産量とコストも検討し、この生産量の推計では、マーケティング計画であげた目標販売と生産部門の生産能力を踏まえた、将来の生産量(月次や年次)を割り出します。

また、生産要素の検討を踏まえ、生産に要するコストを推計し、そして推計した生産量やコストは、財務計画(売上利益計画)の売上高や売上原価の算出根拠となるよう、整合を図ります。

また、QCDの検討も忘れてはいけません。

QCDとは、製品(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)をあらわし、生産計画表作成の際の検討項目となります。

品質の検討では、品質向上のための取り組みや不良率の低減などがポイントとなり、コストでは原価の見直しや他社コスト、納期では生産・出荷のリードタイムや納期厳守度などが検討のポイントとなります。

QCDはどれかを向上させようとすればどれかを犠牲にしなければならないトレード・オフの関係にあるため、生産要素や生産量の検討と合わせ自社が目指すQCDの水準を明らかにしながら適切な目標を設定しましょう。

ステップ10 財務計画書を作成しましょう

事業計画書を推進する際の資金や経費などの流れを明らかにしたものが財務計画書であり、財務計画には組織計画やマーケティング計画、生産計画の実施項目で定めた金額や数量、単価などを反映させ、計画全体の整合性を図っていきます。

財務計画書の作成に当たってはまず、売り上げ利益計画を検討し、既存事業および新規事業の目標売り上げ高や目標利益額(売上総利益、営業利益、経常利益など)を設定します。

ここではマーケティング計画で掲げた目標売り上げ高との関連付けを図るなど、各数値の算出論拠の明示化がポイントとなります。

そして、生産計画などを踏まえて、計画期間中の設備投資と運転資金の見込み額を算出していきましょう。

また、これまでの借入金や今後の借り入れ見込みを算出したり、営業活動、投資活動、財務活動で発生した資金の流出入を計算し、借入金の返済に向けた計画を立て、そして、目標とする売上高や売上原価、販売費用、一般管理費などを設定し、将来の予測利益を算出する売り上げ利益計画を立てます。

売上利益計画を立てましょう

売上利益計画では、事業計画書の計画期間中に予想される売上高や利益をまずまとめます。

過去数期の決算書の売り上げ実績を元にし、既存事業の売上高を設定し、続いて、マーケティング計画で検討した目標販売量などを元に新規事業の目標売上高を設定していきます。

なお、自社の事業や組織が多岐にわたっている場合には、事業部門別や店舗別などに分類して設定することも考えられます。

また、「製品・サービス単価×数量」や「一日あたりの客数×客単価×営業日数」など、売上高を構成する要素を元に売上目標高を定め、算出の根拠とすることも考えられます。

自社に適した構成要素と設定方法を選択し、目標売上高を設定しましょう。

売上原価・売上総利益(粗利益)を設定しましょう

売り上げを上げるために直接的に必要となる費用が売上原価であり、売上高から売上原価を差し引いたものが売上総利益、つまり粗利益となります。

例えば製造業では材料費や製造部門の労働人件費、小売業では仕入れ費用などが売上原価に該当します。

目標売上高の設定と同様に、過去数期の決算書をもとに計画期間中の既存事業の売上原価を検討します。

また、生産計画で検討した製造コストなどを踏まえ、新規事業の売上原価を検討していきます。

売上原価の設定では、ステップ9の生産計画でもご紹介したQCDを改めて検討します。

「品質を維持した上で、材料費や労務費のコストを削減することは可能か」「今より安い仕入先はあるのか」など、原価を低減させる策を探り、計画期間中の売上原価に反映させていきます。

また、売上高から売上原価を差し引き、売上総利益を算出します。

販売費・一般管理費・営業利益を設定しましょう

販売費及び一般管理費は同義語であり、企業の商品や製品の販売業務や本社の一般管理業務に発生した全ての費用のことを意味し別名、営業費ともよばれます。

販売費及び一般管理費は、損益計算書上において表示され、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引くと営業利益になります。

つまり売り上げを上げるために必要な費用のうち、売上原価を除いたものが販売費および一般管理費となります。

販売費には広告宣伝費や販売手数料などの販売活動に関する費用、一般管理費には人件費(間接部門の給与や賞与など)、賃借料、減価償却費など、企業の管理・運営に関するさまざまな費用が該当します。

売上原価の設定と同様に、販売費および一般管理費もこれまでの決算書の実績や組織計画、マーケティング計画などをもとに計画期間中にかかる金額を設定していきます。

その際、「組織計画で定めた人件費は適正か」「マーケティング計画で見積もった広告宣伝費に問題はないか」などが検討のポイントとなります。

そして、営業利益とは、損益計算書上に表される利益のひとつで、企業が本業で稼いだ利益を表します。

売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益」から、さらに「販売費および一般管理費(販管費)」を差し引いて計算し、一般的な商売であれば、商品を仕入れて販売するのが本業となります。

経常利益と当期純利益を設定しましょう

経常利益とは、本業による損益である営業利益(営業損失)に、本業以外の損益を加えて算出した利益のことであり、逆に本業以外の損益は、受取利息や有価証券売却益などの営業外収益から、支払利息や有価証券売却損、有価証券評価損などの営業外費用を差し引いたものとなります。

計算後の数値がマイナスになった場合は、営業損失と呼ばれ、営業利益から営業外費用(支払利息や有価証券評価損など)を差し引いてその値を求めます。

通常の会計原則とは異なり、事業計画書で算出する経常利益には、営業外収益(受取利息や受取配当金など)を含めなくても構いません。

なお、営業外費用の中の支払い利息は、借入返済計画で検討する借入金額などを参考に求めます。

それ以外の収益・費用等は計画作成時点で予見できる金額として盛り込みましょう。

また、経常利益に営業外収益および特別利益を加え、特別損失を差し引いたものが税引き前当期純利益となり、さらに法人税充当額を差し引いたものが税引後当期純利益となります。

税引き前当期純利益の算出では、通常の会計原則では「経常利益=営業利益+営業外利益ー営業外費用」「税引き前当期利益=経常利益+特別利益ー特別損失」となり、営業外利益は経常利益の算出に含めます。

また、法人税等充当額については法人税や事業税などが該当し、通常では税引き前当期純利益のおよそ30%〜50%程度となります。

こうした各指標を算出することで、売上利益計画が完成します。

設備投資計画・運転資金計画を立てましょう

ここでは次に、設備投資資金と運転資金を算出した上で、資金の調達方法を検討していきます。

設備投資計画を設定しましょう

設備投資計画では、既存事業および新規事業に必要な設備投資(機械装置など)の種類や導入年度、単価、数量、金額をまとめていきます。

まずは対象となる機材装置の見積書などを取得し、単価や金額を設定しましょう。

金融機関から設備投資に対する融資を受ける際は、設備投資計画で定めた金額をもとに融資額が決められます。

そのため、設定した設備投資額に過不足が生じることがないように、可能な限り精度の高い金額算出が求められます

また、各都市の設備投資に対する減価償却費もここで明らかにしましょう。

運転資金計画を設定しましょう

仕入れや経費の支払いなど、日々の企業運営で必要となる資金を運転資金といいます。

運転資金の算出にはさまざまな方法がありますが、一般的には売上債権(売掛金や手取り手形)に棚卸し資産を加え、借入債務を差し引く方法が利用されます。

つまり例えば、新規事業で予想される売上債権が3千万円であり、売上債権が1千万円、借入債権が2千万円の場合、運転資金は、

売上債権(3千万円)+棚卸し債権(1千万円)ー借入債権(2千万円)=2千万円

という計算になります。

資金調達額の整理を設定しましょう

設備投資計画・運転資金計画をもとに、資金調達先と調達金額を検討します。

その際、借入依存度の上昇は、金利負担の増大を招き事業の運営を逼迫させかねませんので注意が必要です。

そのため、検討にあたっては金融機関からの借入だけでなく、自己資金による資金調達も考慮に入れるようにしましょう。

借入返済計画を立てましょう

次に借入返済計画を作成し、借入と返済の予定を立てましょう。

借入返済計画では、事業計画書における計画期間中の資金の流出入を明らかにした上で、借入と返済の金額や時期を定めます。

本来、借入金の返済能力を見るには、キャッシュ・フロー計算書と呼ばれる資料を作成し、資金(現金預金)の増減と借入金のバランスを分析します。

しかし、このキャッシュ・フロー計画書には複雑な計算が伴うため、事業計画書の作成ではキャッシュ・フロー計算書を簡略化した借入返済計画を作成し、検討を加えていきましょう

借入返済計画は企業が本業で得た資金(営業活動)および、投資活動で得た資金(投資活動)、財務活動で得た資金(財務活動)などに区分されます。

以下にてそれぞれ各項目の作成方法を解説していきます。

営業活動による借入返済計画を設定しましょう

営業活動による借入返済計画の設定では、税引後の当期純利益に減価償却費を加算します。

減価償却費は現金支出を伴なわない費用のため、資金の流入と考えます。

売上利益計画で求めた各年の税引後当期純利益および、設備投資計画(設備等の取得価額や償却率、償却期間)から導かれる、各年の減価償却費の予定額を求めていきます。

投資活動による借入返済計画を設定しましょう

投資活動による借入返済計画は、設備投資額と資産売却収入で構成されます。

設備投資額には、設備投資計画 で検討した金額を記入します。

なお、設備投資額は資金の流出(マイナス表示)、資産売却収入は資金の流入(プラス表示)とします。

財務活動による借入返済計画を設定しましょう

財務活動による借入返済計画は、新規借入金額と借入返済金額、増資等で構成され、新規借入金額と増資等は 資金の流入(プラス表示)、借入金返済額は資金の流出(マイナス表示)となります。

新規借入金額には、設備投資計画・運転資金計画で検討した資金調達額を記入します。

また、借入返済金額には、既存および新規の借入額に対する各年の返済額を記入します。

ここでは、資金残高が極端に少なくならないような返済計画をたてることがポイントとなります。

その他

はじめに、営業活動、投資活動、財務活動を合計し、資金増減を計算したら、次に、財務諸表(貸借対照表)にある現金預金の額を、直近期末の資金残高として記入します。

さらに、 1年後の資金残高は、直近期末の資金残高に当年 (1年後)の資金増減を加えて求め、以降、同様に計算していきます。

また、 貸借対照表にある借入金(長期借入金、短期借入金など)の額を、直近期末の 借入金残高として記入します。

さらに、 1年後の借入金残高は、前年(直近期 末)の期末借入金残高に、当年(1年後)の新規借入金額を加え、借入金返済額を差し引き求めます。

これにより、各年の企業活動の結果、どの程度の現金預金が手元にあり、借入金が残るかが明らかとされます

ステップ11 実施計画(具体的なスケジュール)を作成しましょう

ここでは、分野別計画で定めた実施項目を実施時期順に整理し、実施計画にまとめるため、分野別計画で定めた内容を実施項目として整理し、実施計画を作成していきます。

その際、実施項目は戦略や分野別計画などに基づく大項目ごとに、関連する項目をまとめます。

例えば、戦略に掲げた「生産体制の整備」や「販売部門の強化」「競合他社との提携」や、分野別計画の「組織」「マーケティング」「生産」 を大項目として、それぞれの大項目に関連する実施項目をグループ化します。

「生産体制の整備」を大項目とした場合、「工場の増築」や「○○製品用製造機械の導入」「製品製造に関する教育訓練」「作業者の採用」などが実施項目となります。

実施項目の棚卸しが完了したら、次に実施時期を設定します。

実施時期が短期間の場合は、該当する時期に丸印(●)を、 長期間に及ぶ場合は矢印(→) を記入します。

事業計画のテーマ実施項目は、実施時期順に並べます。

これにより、 事業計画書に設定した計画実現に向けた実施の手順が明らかとなります

ステップ12「5年後のビジョン」を設定しましょう

具体的なこれから取り組む事業の計画ができたら、企業が目指すべき5年後の目標ビジョンを掲げましょう。

1年後や10年後ではなく5年後であることがポイントであり、近すぎず先すぎず、頑張り続ければ近い未来に見えるビジョンを設計することで目標への歩みを誤まった方向へ進まないようにすることが目的です。

そのため、自分が達成できているイメージを鮮明に描けるようなものにし、以下の3W1Hをおさえます。

  • When:5年後
  • Where:どこで(想定する市場)
  • What:商品・サービスの具体的な内容
  • How much:いくら儲けるのか(達成可能と思われる具体的な数値を競合他社のマーケットシェア情報やこれまでの自社の実績などを元に算出します。)

良い事業計画書の3つの条件とは

事業計画書はビジネスを成功に導くための計画書であることから、説得力があり誰もが疑いを持つことなく、その実現についていけるようなものである必要があり、良い事業計画には最低限必要な3つの条件があると言われています。

その良い事業計画書の3つの条件とはズバリ、「1分でその事業内容が説明できること」「事業の実施計画がはっきりと明確であること」そして「ロジカルに徹底的なファクト&テストが実行されること」です。

ここではそれぞれ具体的に少しご紹介しましょう。

条件1 1分でその事業内容が説明できること

自社の命運をかけて取り組む事業活動であるからこそ、その計画者のさまざまな想いが込められていることは明白です。

そして、その計画書を読む人を説得するためにさまざまな視点から相手を説得するためにはもちろんスジの通った数字のロジックは必要ですであると同時に「明快さ」も重要となります。

事業に込める想いが熱ければ熱いほどに何時間でも無限に語ることができるものですが、それをあえてさっとシンプルに、かつ説得力のある言葉で語れるように整理することが重要です。

人が相手の話を興味がある・ないと判断するために辛抱できる時間はおよそ1分であると心理学ではされており、その間に興味を惹きつけるような事業プランの説明ができるまで整理されていることがキーとなります。

具体的には事業立ち上げの経緯や儲けのしくみ・市場分析に提供サービスの概要など、あらゆる説明項目にサマリーつまり要約を設けるようにすると良いでしょう。

長くなりがちな事業計画書ではありますが、サマリーだけ読めば大体理解できるようにしておくことが良い事業計画書の特徴なのです。

 

条件2 事業の実施計画がはっきりと明確であること

いかに優れた計画が設計されていたとしても、その計画が正しく実行されなければ価値はありません。

事業計画書に書かれる将来の展望内容は抽象的になりがちでありそれは仕方のないことでもありますが、その計画を実際に実行に移し続けて行くためには、「いま」「何を」すべきなのかがその時々に応じて書かれてることで確実に実行されていくと感じさせ4ることが可能になります。

条件1では事業計画書の各説明項目にサマリーを設けることが重要とご紹介しましたが、それ併せて「今やるべきこと」が書かれている事業計画書はより説得力のある良い事業計画書となるのです。

条件3 ロジカルでありながら、徹底的なファクト&テストが実行されること

事業計画書はロジカルに筋の通った内容であることが前提として求められることではありますが、その計画段階であまりにもきれいなロジックを設計してしまうとそのロジックに溺れることとなり、その後の柔軟な切り替えに適応できないことがしばしば発生します。

しっかりとしたロジックを立てながらも、それはあくまで仮説であることを前提とし、柔軟に変容できるようにして置くことも事業計画の作成に当たっては重要なポイントです。

特に「売上」の面において想定通りに行かないことが多く、事業計画書で最も大きくハズれやすいのが売上の計画と言われています。

ハズれる原因の多くは、「市場および競合の分析」「マーケティング・販売戦略」「財務計画(売上予測)」が仮説のレベルであるからです。

そのため、仮説で終わらせるのではなく、ファクトの調査とテストで仮説を検証することが大切です。

ファクトの調査とは市場規模や競合の売上高などの客観的事実を調べることであり、テストとは商品やサービスのプロトタイプを開発し、試用テストだけではなく、本当におカネを払ってでも買ってもらえるかを検証することです。

事実は仮説よりも強いものであ理、動かしようのない客観的事実を知った上でこそ、立てた仮説は価値を持つものとなります。

したがって、サマリーに客観的事実、特に数字を入れこむことによって、よりよい事業計画書を作成できるようになります。

良い事業計画書とされるものの多くは、まだ仮説段階の綺麗なロジックは少なく、ファクト収集とテスト実行が多く記述されています。

事業計画書作成の参考となるビジネスフレームワークについて

上記のステップ6において、ビジネスフレームワークがこの事業計画書作成にとても役立つことをご紹介しましたが、ここでは参考にした3つのフレームワークをかんたんにご紹介したいと思います。

計画内容に「抜け」や「漏れ」があれば、現状分析から問題・課題の抽出、テーマ・戦略の設定に至る因果関係が不明確になる恐れがあります。

また、計画で定めた取り組み内容の「重複」は、中小企業の限られた経営資源のムダ遣いを招きかねません。

そのため、ビジネスプランや事業計画の策定にあたっては、「抜け」「漏れ」「重複」を防ぎながら無駄なく適切に進められる計画を立てることがポイントとなります。

「抜け」「漏れ」「重複」のない計画づくりを進めるためには、フレームワークの活用が有効です。

フレームワークとは、計画づくりの切り口や “観点”のことをいい、今回の記事でご紹介したSWOT分析やマーケティング・ミックスの4P、QCDもフレームワークに該当します。

3C分析

3C分析は、自社を取り巻く外部環境を分析し、戦略を立案する際に用いられ、外部環境の市場と競合の分析からKSFを見つけ出し、自社の戦略に活かす分析をするフレームワークです。

KSFとは、Key Success Factorの略であり、「主要成功要因」つまり事業を成功させるための必要条件という意味です。

経営戦略を策定するうえでは、外部環境分析から事業におけるKSFを明確にし、内部環境分析から自社がKSFをいかに実現していくかという具体的な戦略立案につなげていくことが重要となります。

規模、技術力、顧客対応の迅速さなどKSFとなりえる要素はさまざまですが、業界で優位に戦っていくためには、KSFとなる要因について必要なだけの能力や資産を持っている必要があります。

3Cとは、市場(Customer)競合(Competitor)、自社(Company)の頭文字を指し、ビジネスプランや事業計画の作成では、現状分析やテーマ(戦略)設定の際に有効なツールとなります。

市場では、市場の規模や成長性、消費者の特性などが分析のポイントとなります。

また、競合では競合企業の戦略や強み·弱みなど、自社では自社の経営資源や財務状況、組織体制、技術力、ブランド力などを総合的に分析します。

市場分析のポイント

自社の製品やサービスを、購買する意志や能力のある潜在顧客を把握し、具体的には、市場規模(潜在顧客の数、地域構成など)や市場の成長性、ニーズ、購買決定プロセス、購買決定者といった観点で分析します。

競合分析のポイント

競争状況や競争相手について把握し、特に競争相手からいかに市場を奪うか(守るか)という視点を持ちながら、寡占度(競合の数)、参入障壁、競合の戦略、経営資源や構造上の強みと弱み(営業人員数、生産能力など)、競合のパフォーマンス(売上高、市場シェア、利益、顧客数など)に着目します。

この競合との比較は、自社の相対的な強みや弱みの抽出にも役立つ重要な着眼点です。

自社分析のポイント

自社の経営資源や企業活動について、定性的・定量的に把握し、具体的には、売上高、市場シェア、収益性、ブランドイメージ、技術力、組織スキル、人的資源などを分析します。

また、付加価値を生み出す機能や、コスト・ドライバーにも着目すると良いでしょう。

製品・市場マトリックス

製品・市場マトリックスは,事業拡大の検討など、企業が成長戦略を立案する際に用いるフレームワークです。

企業が長期的に成長発展していこうとする際に検討すべき基本的な方向性の枠組みであり、アンゾフによって提唱されたことから「アンゾフの成長ベクトル」とも呼ばれています。

マトリックスの名称が示すように、製品と市場という2つの軸を取り、それぞれ既存と新規に分けると、4象限のマトリックスができます。

既存製品/既存市場にさらに力を入れる方向を市場浸透戦略、既存市場に新製品を投入していく方向を製品開発戦略、既存製品を新市場へと売り先を求めていく方向を市場開拓戦略、新製品で新市場をねらう方向を多角化戦略と位置づけており、多角化する場合、シナジー効果が出るように事業を組み合わせることが重要とされています。

例えば市場浸透戦略では価格の引き下げや既存製品の広告宣伝の強化などの実施項目が考えられます。

5つの競合要因(ファイブフォース)

5つの競合要因(ファイブフォース)は、バーバード・ビジネススクールのマイケル・E・ポーター教授によって開発された、特定の業界の特徴や収益構造を分析し、事業戦略を練るためのフレームワークです。

フォースは『脅威』という意味であり、企業を取り巻く脅威を知り、業界の収益構造を明らかにするための分析手法です。

ポーターは企業の競争要因(脅威)を以下の5つに分類しました。

  • 既存同業者との敵対
  • 新規参入企業の脅威
  • 代替品の脅威
  • 売り手の交渉力
  • 買い手の交渉力

つまり、「業界内の競争」「売り手(供給業者)との交渉力」「買い手(顧客)との交渉力」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」の5つの要因を分析する事で、業界の競争状況を明らかにし、新規参入の可否や経営資源の売文などの戦略立案に結びつけていきます。

<参考リンク>
事業計画書とは何か。概要と作成メリット

起業アイディアの考え方

戦略と戦術を使い分けた、失敗しない事業計画の作り方

永久保存版-事業戦略で使えるフレームワーク32選

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