ニッチビジネスによる1点突破全面展開の起業戦略

資金面でも組織面でも経営資源の乏しい小規模起業では、限られた力を1点に集中し突破口を開かなければなりません。まずどのような分野を狙ったらよいかですが、市場規模の小さい分野を狙うのが1つのカギです。ニッチ(隙間)と言われる切り口です。

ニッチビジネスとは

ニッチビジネスとは、市場規模が小さく参入するメリットが少ないと思われる分野や新商品・新サービスで市場性が未開拓で不明な分野や公的な分野に近く収益性が乏しいと思われている分野などを対象としたビジネスです。競合他社が比較的少ない競争優位性の獲得確率が高く、市場規模の小ささや特殊性からニッチ(隙間)と呼ばれるものです。

大手企業は、彼らのマーケティングの基本戦略から一定の市場規模がないと参入してきません。メリットが薄いことが理由として挙げられます。大手企業の新規事業は投入資金が多くなりがちで採算点が高くなるため、中小資本は大手が参入して来ない市場なら叩きつぶされません。また、独創性のある新商品・新サービスならばパイオニアになれる可能性があります。

超専門店の発想

ネットショップの場合は同一商品はもちろん普通の一般的な商品はあふれており、差別化ができないため超専門店の発想が必要となります。市場規模は小さいけれど、ターゲットの人にとっては切実なニーズがある分野です。運動選手など足の大きな人向けのビッグサイズ専門の靴屋やマニア向きの特殊商品などがすべて該当するでしょう。

また特殊な病気の患者向けの医療食や健康食用品などがあります。外反母趾の人向けのオーダー靴製作やパラリンピック選手でも目にするような障害者向けの義肢装具のオーダー製作もあるでしょう。

特殊性のある商品を新規性のある市場に持ち込むことでも超専門店は可能です。日本の武道具を海外向けのネットショップで売るというような分野で供給の限られた超専門店に対する顧客のニーズは切実です。他では得られないものであれば熱心なファン、リピーターになってくれます。

1点突破全面展開の起業戦略とは

ニッチ性のある分野で限られた経営資源を1点に集中してオリジナル性のある限られた商品で販売し売り上げを拡大することで経営基盤を確立し一定の資金獲得により、製造規模の拡大して販売チャネルの開拓や広告宣伝の強化、アフターサービスの強化など全面的な展開をはかる戦略です。ニッチ市場で優位性を獲得することができます。拡大眼鏡のハズキルーペがありますが、ハイテクでなくてもオリジナル性で粗利益率も高い分野で市場を開拓して類似品を叩く宣伝や販売チャネルの多様化を図っており、類似品と対抗するにはブランドの確立が重要です。

真似されないための工夫

商品の場合は真似される可能性があり特許や実用新案や商標などで防衛しますが、決め手にはならない場合も多くあります。そのため宣伝力を持ちブランド化を図ることが必要です。

サービスの場合は技術などの差別化やあえて手仕事性や手間のかかる工程を持ったりして真似されにくい工夫をする場合もあります。法人向けサービスではサービス品質で差別化を図ることも可能です。

ニッチビジネスも成功すると市場が拡大してくる場合があります。ニッチがニッチでなくなった場合です。新商品や新サービスの普及成功によりサービスの市場が拡大する可能性もあり、そうすると大手が注目してきます。資金力や販売力を活かして類似品を投入してくる可能性があります。

小企業が独自性のある技術などの特許を持っている場合は別ですが、市場の競合が激しくなる場合があります。小企業はベンチャーですから小回りの利く開発力では優れています。新規の事業の開発を絶えず行っていくチャレンジ精神が必要となり、次なるニッチを絶えず開拓していくことがニッチビジネス成功の秘訣です。

<参考リンク>

・趣味を活かして、起業したらうまくいく!フリーランスになるには?

・売れるビジネスアイディアの発想法

・ベンチャー企業に転職するリスクと向いている人の特徴とは

TP Interview 006:SecreT ART タルトアーティスト 山崎照氏(前編)~一歩レールを踏み外せば、今までにない景色が見えてくる。~