2020年、企業がビジネスマンに求めるスキルトップ10

IT技術の革命的な進歩などにより、これまで人間が行ってきた仕事が益々、機械やITサービスで代替されるようになってきました。

こうした時代変化を受け、企業はより従業員に対して人間ならではの経験と実績から培われる業務スキルを求めるようになることは明白です。

2016年1月、世界経済フォーラム(World Economic Forum)は2020年に企業が求めるビジネススキルの調査レポートを提出しました。

そこでは、4年以内に、企業が従業員に求めるスキルは大きく変容し、現在必要とされるスキルの平均1/3は重要視されなくなるとされています。

この報告書は「世界で最も大きな15の経済圏のうち、9業界、350人以上の一般従業員から管理職を対象に調査されたもので、技術進歩が労働市場をどのように進化させるのかを示しており、「The Feature of Jobs(仕事の未来)」という調査題名がつけられています。

今回は、この調査結果(2020年までに求められる業務スキル)のトップ10位をご紹介しながら、これからのスキルアップ・キャリアアップについて考えていきたいと思います。

 

第10位 柔軟な判断力

ここでの柔軟な判断力とは、さまざまなことを同時に考える能力を指しています。

この能力は2015年の調査では、あまり重要視されるものではありませんでしたが、今後4年の間に必要性が高まるとされています。

また、この報告によると、柔軟な判断力には創造性、論理的思考力、問題解決力も同時に必要となるとされています。

IT化が進む昨今では、これまで以上に多くの情報が得られるようになっています。

例えば、顧客の購買履歴や購買に至るまでのオンラインでの行動履歴、購入後のアクションなどが上げられ、こうした情報をクロスで集計し、実際の事業での最適化・改善につなげる必要があります。

しかし、情報量が溢れ時にはそれに翻弄されることも多いでしょう。

そんな時、さまざまな情報から適切なものを導き出せる判断能力、そして優先順位をつけて対応を進められる能力が必要になります。

 

第9位 交渉スキル

社会性はビジネスにおいてより重要となるとこは間違いなく、交渉力はビジネスを優位に進めるために欠かせないスキルです。

これまでもこのスキルは重要なものとされてきましたが、どれほど技術が進んでも永遠に重要なビジネス能力であることは明白です。

さらに、交渉力は営業担当者などに求められる能力とされてきましたが、その幅は広がるとされており、アナリスト(データ分析の担当者)やソフトウェア開発者などといった技術職においても交渉力の需要が高まるとされています。

また、デザイナーなどのクリエイティブ職においても重要なキーになるこのレポートでは記述されており、その重要性は益々増加するものと予想されます。

第8位 サービス志向

サービス志向は最近注目されるようになり、マーケティング手法の一つとしてさまざまな書籍も出版されている注目のワードでしょう。

サービス志向はよく製品志向の対比として表現されることが多く、人々ニーズやウォンツを満たす方法のことで、お客様に求められる形でビジネスを進める手法のことです。

製品志向は、逆にすでにある製品をどのように販売するかを考えるものです。

世界トップクラスのマーケットシェアを誇る中国市場では多くの企業がすでにサービス志向にシフトしており、2007年に売上高13億5,600万元(約203億円)をあげ、前年対比110%の純利益をだす特に勢いのある企業「UFIDA Software社(用友軟件)」もその一つです。

同社董事長(会長)兼総裁の王文京氏は、サービス志向による経営を行うことについて、「サービス志向型経営を実施することは、用友にとってビジネスモデルの変革とイノベーションを意味します。その中でも最も重要なのは、異なる発展段階にあるユーザー、異なる産業分野に位置するユーザーに対し、それぞれに適合したサービスや製品を提供していくことにある。サービス志向型経営により、用友のポジションニングも、これまでの生産志向型企業(産品経営型公司)から変化することができる。すなわち、マネジメントソフト・プロバイダーから、各種のアプリケーションサービス・プロバイダーへと変わることができるのである」と発言しています。

このサービス志向は、人々のニーズなどを察知する社会的スキルの一つとしてこの報告では定義されています。

ここまで連続して登場している社会的スキルですが、最近の経済研究所の研究論文によると、社会的スキルはロボットやその他IT技術による自動化が進歩した後ますます重要になるとしています。

なぜなら、コンピューターでは人間のコミュニケーションを再現する部分においては非常にお粗末なものであるためです。

社会的スキルは何千年もかけて人間のん中で進化を遂げてきものであり、人の感情を察して対応することはもはや無意識の内に行われているプロセスです。

職場でのチームワークは、お互いの強みを活かし状況の変化に柔軟に対応することで生産性につながります。

こうしたお決まりのルーティーン作業ではない人間の心理は、機械には超えることができないのです。

第7位 判断力と意思決定能力

この判断力と意思決定能力は2015年の必要なスキルとして8位にランクインしていましたが、2020年までに7位に上がるとされています。

このスキルは、データを分析し、そこから意思決定を行うことを指しており、「システムスキル」とも呼ばれています。

第10位で上がった「柔軟な判断力」ともその意図はかぶるものがありますが、これも組織がより多くのデータを収集するようになることで、そのデータを分析し意思決定できる人材に対する需要が上がることから第7位に入っています。

ここからわかる通り、単に言われた仕事・お決まりのルーティーンをこなす人材ではなく、自分で考え行動できる能力が求められる時代になっています。

そうした意味では、経験と実績、ナレッジを持つシニア世代の活躍が益々見込まれることは間違いないでしょう。

第6位 感情的知性

この感情的知性とは、人の気持ち(感情)を察する能力を指しています。

ロボットはさまざまな仕事ができますが、少なくとも現在は人間同様に人の心を察することはできません。

そのため、ビジネスマンには、より高いレベルで人の感情を察しられることが求められます。

人の気持ちを察するためには、相手を警戒させないコミュニケーション能力が求められ、時には表面的な言葉に惑わされず、相手のこれまでの行動や表情などから本心を察する感性ももとめられます。

このスキルは経験によって研ぎ澄まされるものであり、ビジネス歴を重ねれば重ねるほど培われていき、また人から教わって学ぶことの難しい能力ですね。

感情的知性は、2020年までに従業員にとって必須スキルとなるとされています。

第5位 人と協力すること

これもまた社会的スキルの一つですが、他者との関係の中で調整を重ね協力できるスキルもまた必然的に重要なものとなります。

昨今のビジネスでは「チームコラボレーション」と表現されることもよくありますが、プロジェクトが成功するかどうかは、チームコラボレーションが円滑に進むかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。

ビジネスマンには突破力といった個人の能力の高さとともに、コミュニケーション能力と協調性によって可能なビジネス範囲を広げ、ビジネスを大きく成功される能力が必要になります。

一人でできる仕事の可能性とチームによる可能性は足し算と掛け算ほどの差がありますので当然ですね。

昨今では、チームコラボレーションの重要性から円滑なコミュニケーションや情報共有などをアシストするITツールも普及しておりそれらを活用しながら高いビジネス成果を残すことが求められるでしょう。

第4位 マネジメントスキル

このレポートによると、マネジメントスキルに対するニーズは非常に高くなり、企業同士の人材確保競争となるとされています。

日本では、マネジメント能力を管理能力と考え、チームメンバーの活動を把握し目標未達などに対し指摘・指導する能力と考えがちですが、ここで求められるマネジメントとは、従業員のやる気を引き出し、成長させ、最適な仕事のアサインができることです。

チームメンバーの活動を落とすことなく状況を把握できる環境を構築し、懸念を吸い上げられる信頼性も求められますし、第3位にあるコミュニケーションスキルを引き出し、円滑なチーム活動をサポートする力も要求されます。

管理好きの傾向にある日本において、マネジメント職でこの能力をもつ人は世界と比較して非常に少ないと言えるでしょう。

また、この調査報告書によると、マネジメントスキルは特にエネルギー産業やメディア業界のマネージャとして需要が高いとされています。

第3位 クリエイティビティ(創造力)

クリエイティビティ(想像力)は、2015年には10位にランクインしていましたが、2020年にはトップ3に入ることとなりました。

クリエイティビティとは、アイディア力・創造力のことです。

アイディア力とは、新しいアイディアをひらめく能力のことで、独創的かつ柔軟な思考力も同時に求められます。

また創造力は、出したアイディアを具体化し、それを形として創り上げる能力のことです。

クリエイティブなものの例としてよく上がるのは、iphoneですが、人々が求めるものをスマートな形で生み出し、形にし、そして世界に浸透させそのスペックを益々強化させていくそのさまはまさにクリエイティブと言えるでしょう。

新技術が次々と誕生する時代の中で、クリエイティブ(創造的)な人にはその技術を適用した新製品・サービスの創造が求められています。

第2位 批判的思考力

批判的思考力は、ビジネスマンにとってこれから基本として求められる業務スキルとなります。

この批判的思考はクリティカル・シンキングとも言われ、あらゆる物事の問題を特定して、適切に分析することによって最適解に辿り着くための思考方法です。

ただし、「批判」の定義については論者によって異なり、多くは単に否定的になるのではなく、自身の論理構成や内容について内省することを意味しています。(出展:Wikipedia)

この批判的思考力には、判断するために必要な情報を十分に確保し、それらをクロスで思考し、適切な判断力を下せる必要性があります。

これは非常に高度な能力であり、単なる知識だけでなく成功・失敗経験を重ねてきた上で直感的に情報を正しく判別する必要性があり、長年のビジネス経験によって培われるものとなります。

このレポートによると、 ロジカル(論理的)にまた推察力によってさまざまな製品やアプローチの長所・短所を把握できることも求められるとされています。

批判的思考力は、IT技術による自動化が普及してもなお、機械的には補うことのできない能力であり、今後も重要性が高まることでしょう。

第1位 複雑な問題解決力

2020年に求められる能力として第一位にランクインしたのが、複雑な問題解決力です。

これまでも述べてきた通り、意思決定に役立つデータがより多く取得できるようになり、人々はそのデータから複雑な問題を解決するスキルが必然的に必要となります。

ビジネスは進める上で多くの問題に直面します。

代表的な問題は、人材不足・販路拡大・活動の効率化・事業計画の軌道修正など多岐にわたります。

中小企業においては特に、これら全ての問題に直面する状態が永続的に続くことも珍しいことではありません。

問題を解決するために自社にとってどのような対策が必要なのか、具体的には社内の人材リソースの配分・配置、優先順位の判断からこうした問題解決をサポートする人的支援サービスやITツールの導入検討・判断も必要になります。

2015年にもこの複雑な問題解決力スキルは最も必要なものとしてランクインされており、2020年にも変わらず第一位という結果になりました。

またこのレポートによると実際に、すべての業界において、2020年までに複雑な問題解決能力を基本スキルとしてもつ人を全雇用の36%に目指すとしています。

自分の能力について考えてみましょう
2020年に求められる能力をまとめると、下記となっています。


第1位 複雑な問題解決力

第2位 批判的判断力

第3位 クリエイティビティ

第4位 マネジメントスキル

第5位 人と協力すること

第6位 感情的知性

第7位 判断力と意思決定能力

第8位 サービス思考

第9位 交渉スキル

第10位 柔軟な判断力


一覧として見ると、そのほとんどが長年のビジネス経験から培われる能力であることがわかります。

これからの時代は体力に自身のある若者たちよりも経験と実績を持つ中堅職以上のニーズが高まり、定年退職後のいわるゆシニア世代に対しても白羽の矢が立つことは想像に易いでしょう。

しかし、ある程度は能力として持っているが、このレポートから求められるこれらの能力レベルは非常に高く不安になる部分もあるかと思います。

世界で見ると日本のビジネス能力、とくにIT技術に対する一般の対応レベルは低い傾向にあり、マーケティングやマネジメントといった世界で急速に普及が進んだビジネス能力の普及も遅い傾向にあります。

しかしこれは裏を返せば、学ぶことであなたに対する企業のニーズはより高いものにかんたんに上げることが可能であり、ビジネスチャンスを容易に掴めるということ言えます。

今回あげられれた必要なビジネススキルに対してどの能力を自分は追求するのか考えてみていただき、今後のスキルアップとして挑戦すると良いでしょう。

 

最後に

IT化が進む昨今において企業が求める業務スキルが変容することは間違いありません。

その変化を肌で感じているビジネスマンとって、こうした昨今において、これからも自分が必要とされ続けるか不安がある人も多いのではないでしょうか。

これから求められるスキルを大きく表現すると、「考える」ことでしょう。

データを単に出したり、組み立て作業などといった考える必要がほとんどないような業務スキルは不要の産物となり、逆にそうした情報や商品を最大限に活かす思考力や判断力などが求められることとなります。

こうしたスキルはセンスなどもありますが、一朝一夕で身につくものではなく経験と実績によって培われていくものです。

このことからも経験豊富なビジネスマンを求める企業のニーズは益々増していき、企業にとってなくてはならない存在となることは間違いないでしょう。

 

<参考リンク>

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